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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 被爆者で詩人 橋爪文さん

「みんなの力で未来開け」

 「一人の力は小さいけれど、みんなが集まれば大きな力になる。日本、そして世界を動かし、自分たちの未来を切り開いてほしい」。広島の被爆者で詩人の橋爪文(はしづめ・ぶん)さん(82)=東京都=は、インタビューに答えて、そう力強く言いました。

 14歳の時、爆心地から約1・5キロの広島市千田町(現中区)にあった、学徒動員先の広島貯金支局の3階で被爆しました。突然(とつぜん)、太陽が落ちたような光を感じました。頭を大けがして大量出血。その後も、高熱や下痢(げり)、原因不明の病気に苦しめられました。トラウマ(心的外傷)は、何十年も続きました。

 2001年、自らの体験を基に「少女・十四歳の原爆体験記」を出版。その新版を11年秋、福島第1原発事故についての考えや原発をなくしたい思いも書き加えて出しました。今は、その英語版の発行を目指しています。「戦争や原発について考えるきっかけにしてほしい」と願っています。

 「核廃絶(かくはいぜつ)のためにはどうすればいいですか?」と聞くと、「みんなで考えてほしい」と「宿題」を出されました。

 「何事もうのみにせず、クエスチョンを持ってほしい」。橋爪さんは、そう繰(く)り返(かえ)しました。その言葉を胸(むね)に、答えを見つけていきたいと思います。

 まずは、世界の人たちと触(ふ)れ合える活動にできるだけ多く参加し、原爆について知ってもらい、「一緒(いっしょ)に核兵器をなくそう」と伝えることから始めたいです。(高2・神安令、中3・松尾敢太郎)

(2013年11月4日朝刊掲載)

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