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ジュニアライター発信

広陵高 テニアンで平和交流

 広陵高(広島市安佐南区)は、広島に原爆を投下した米軍機エノラ・ゲイが出撃した太平洋のテニアン島にあるテニアン中・高、北マリアナ大と2005年に姉妹校提携(ていけい)を結びました。

 以来、テニアン島を訪れ、テニアン高の生徒と交流するサマープログラムを行っています。現地では、ホームステイや平和ディスカッション、自然体験を通して互(たが)いの文化を理解し合い、平和学習をしています。

 今年は、1、2年生16人が8月2日から6日間、訪問しました。3日は、日本軍の司令部跡や、広島に落とされた原爆がエノラ・ゲイに搭載(とうさい)された場所を巡(めぐ)りました。司令部跡(あと)には、弾丸(だんがん)の痕が今も残っています。

 島には、こうした戦車や被害(ひがい)を受けた建物が手付かずのまま放置されています。保存するための技術や資金がなく、老朽化(ろうきゅうか)は進む一方だそうです。

 広島に原爆が投下された6日の午前8時15分(現地の午前9時15分)には、島南部のタチョンガビーチで救急車のサイレンを合図に黙(もく)とうをささげました。夜は一人一人がろうそくの火をともしながら、戦争や平和に対する意見を現地の高校生と話し合う「もうひとつの平和式典」を開いたそうです。

 サマープログラム参加2回目の沖手彩香さん(17)は「テニアンにいたからこそ考えることがたくさんあり、戦争は二度とあってはならない、という気持ちが増した」と話します。

 来年の春にはテニアン高の生徒が広島を訪れ、原爆ドームや原爆資料館を巡る予定です。担当の竹本淳一先生(47)は「平和のありがたさを感じ取り、発信してほしい」と言います。言葉は通じなくても、互いの心で通じ合えるようになることを強く願っています。(中3・中野萌)

(2013年12月10日朝刊掲載)

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