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ジュニアライター発信

ジュニアライター この一作 「ピカッ子ちゃん」(正田篠枝作) 被爆の妊婦守る優しさ

 この本は原爆が投下された時に妊婦(にんぷ)だった「おばさん」が、その直後に元気な女の子を出産し、たくさんの人に助けてもらいながら逃(に)げ、暮らしていく話です。

 被爆した兵隊が、経験もないのに出産を手伝ったり、電車の運転士が、お金を持っていないおばさんをそのまま乗せたりと、自らも被爆したにもかかわらず助けてくれる人がたくさんいました。

 私はそんな人々の優しさを「すごいな」と感じましたが、さらに深く印象に残っているのは原爆投下後の描写(びょうしゃ)です。「馬のはらわたがさけて」や「とびだしたメダマがだらりとさがっている犬」など、高校生の私が読んでも思わず本を閉じたくなるような様子が立て続けに描かれている場面がありました。でもそれは、読んだ人の心に残ります。原爆の記憶(きおく)を風化させないために、大切なことではないかと思います。(高1岡田春海)

(2014年12月8日朝刊掲載)

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