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ジュニアライター発信

ジュニアライター この一作 「火垂るの墓」(野坂昭如原作) 戦時中の飢えに衝撃

 私は4歳の節子がドロップを欲しがるから、空のドロップ缶(かん)に水を入れて飲ませた場面が一番心に残っています。欲しい物が何でも買えてしまう、今の私には衝撃(しょうげき)でした。それだけ当時の日本は食料が不足していたということだし、そんな状態が想像できない自分にもショックを受けました。

 私は、物を盗(ぬす)むのは悪いことだと思っていました。しかしこの本では、兄の清太が、愛する節子が栄養失調になったため、泥棒(どろぼう)をするのです。

 今でも食べ物がなく、生きていくために物を盗む子どもがいます。節子たちの時代と同じように苦しんでいるのです。

 もし、世界の大人たちがまだ戦争や争いを続けるなら、節子のように飢(う)えて死んでしまう子どもも増えていくでしょう。日本では、戦争の苦しみを知らない人が、どんどん増えています。もう二度と悲劇を起こさないためにも、事実を受け止め、戦時中の苦しみを理解することが大切だと思いました。(中2・上岡弘実)

(2014年7月21日朝刊掲載)

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