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ジュニアライター発信

ジュニアライターこの一作 「二十四の瞳」(壺井栄) 強く生きる姿 憧れる

 師範(しはん)学校を卒業して、瀬戸内海に浮かぶ小豆島の分教場に赴任(ふにん)してきた大石先生。戦争に向かおうとする時代に生まれた12人の1年生。周りの大人からはよく思われていなかったものの、子どもと先生は固い絆(きずな)で結ばれていました。

 なぜ戦争をしなければならないのか? 本当に勝てるのか?こんなことは、言えない世の中でした。身も心も戦争に投(な)げ込(こ)めと教えるのが教師の仕事でした。

 今、この時代に生かされている私たちは、何を言っても社会から追放されません。生まれた時代が違(ちが)うだけで、こんなにも幸せを感じることができています。そう思うと、後ろめたい気持ちになりました。

 その後、戦争が激しくなり、大石先生は夫と母親、そして娘(むすめ)も亡くします。それでも再び教壇(きょうだん)に立ったのです。大切な人を失い、悲惨(ひさん)な体験をし、それでも続ける。今の自分には到底(とうてい)できないと思いました。

 普段(ふだん)つまらない理由で物事から逃(に)げている自分が、この本を読むととても情けなく思えました。大石先生のような力強い、自分をしっかり持った女性になりたいです。(中3芳本菜子)

(2014年11月17日朝刊掲載)

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