×

ジュニアライター発信

ひろしまを語り継ぐ教師の会 後世に原爆実相伝える

 被爆を体験しながら、後世の人々に残さずに死んでしまうのは惜(お)しい。そんな思いが始まりで、「ひろしまを語り継ぐ教師の会」は2001年11月、8人でスタートしました。「原爆の実相を残したい」のが活動の狙(ねら)いだと事務局長、梶矢文昭さん(74)は話します。

 会員は現在72人。年4、5回の例会で、互(たが)いの被爆体験を語り合っています。これまでに証言したのは35人に上ります。「直接子どもたちに話したい」との思いもあり、幼稚園(ようちえん)や学校で年に25~35回ほど話す機会もあるそうです。

 また、被爆60年の05年8月には、広島に投下された原爆を搭載(とうさい)した米国の爆撃(ばくげき)機エノラ・ゲイが飛び立った太平洋のテニアン島での平和式典に参加。米国の退役軍人と意見交換(こうかん)しました。

 09年には、証言をまとめた「語りびと」を発刊。エジプトのカイロ大教授が翻訳(ほんやく)し、11年に世界初のアラビア語の被爆証言集ができました。今は、被爆後、ヒロシマの復興に取り組んだ市民の生きざまを書き残そうと、「ヒロシマエピソード(仮題)」を8月までに出す予定です。

 僕(ぼく)は、今回の取材で梶矢さんから聞いた「国によって価値観が違(ちが)うから、互(たが)いにどうこうしろというのは無理」という言葉が胸に残っています。まずは日常生活の中で相手の価値観を理解するところから始めたいです。(高2・神安令)

(2014年2月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ