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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「むらさき花だいこん」(大門高子・文、松永禎郎・絵) 守り育てていく平和

 「花」と聞いて皆(みな)さんは何をイメージしますか。「戦争」と思(おも)い浮(う)かんだ人はいるでしょうか。

 この本は、小さな紫(むらさき)色をした野の花の物語です。日中戦争の時、日本兵が種を持ち帰りました。今では日本中で見られ、「ピースフラワー」とも呼ばれています。戦争をきっかけに海を越(こ)え、静かに平和を訴(うった)える花と人々の思いが胸に迫(せま)ってきます。

 私たちにできることは、何か。物語の最後にある「花も平和も人の手で人の心で守り育てられるもの」という言葉がその答えだと思いました。平和は花のように美しく、はかない。だから、人々が守り育てなければいけないのです。

 ことし僕(ぼく)は、ひろしまフラワーフェスティバルに参加しました。会場にはたくさんの花が咲(さ)いていました。人々の笑顔もたくさんありました。僕らの広島はこうして平和を育てているんだ―。この本を読んだせいか、心からそう思えました。(中2川岸言統)

(2015年9月15日朝刊掲載)

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