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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「キンコンカンせんそう」(ジャンニ・ロダーリ作 アーサー・ビナード訳) 争いの愚かさ伝える

 戦争をしている二つの国の話です。昼も夜も撃(う)ち合(あ)ううちに、金属が底をついてきます。そこで大将は、国中の時計塔(とう)や教会、学校から全ての鐘を集め、一発で勝てるでっかい大砲(たいほう)を作らせます。

 しかし、いざ発砲(はっぽう)してみたら、なぜか鐘の音がするだけ。相手の大将も同じことを考えていたらしく、両側から鳴(な)り響(ひび)きました。響き合う鐘の音に兵士たちは武器を捨てて踊(おど)りだし、声を掛け合って、戦争はあっさり終わったのです。

 この本は戦争が愚(おろ)かなことだと伝えています。より多くの敵を倒す兵器を作って戦争が拡大していくのは、現実の世界の姿です。時を刻む大切な鐘まで兵器に変えるところはとても印象的でした。

 世界では今でも争いが続いているところがあります。その戦場でも、みんな武器を捨てて走りだし、踊りだして、互(たが)いに声を掛け合えるような日が来ないかな―と僕(ぼく)は思います。キャラクターもストーリーもユーモラスで、小さい子でも読める本です。一人でも多くの人に読んでほしいです。(中2鼻岡寛将)

(2015年8月31日朝刊掲載)

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