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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「チェルノブイリから広島へ」(広河隆一著) 核が抱える課題実感

 今から29年前に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故。この本では、現地の惨状(さんじょう)を追ってきた作者が、ヒロシマを振(ふ)り返りつつ、核(かく)についての考えをまとめています。

 何よりも驚(おどろ)いたのは、この事故後に多くの人が原因不明の病気になっているというのに、原子力推進派の人々は、原子力は安全だ、と言い続け、被害(ひがい)の実態を隠していたことです。

 この本を通じ、核の危険性がよく分かります。70年前の原爆は、たくさんの死者を出し、今なお被爆者を苦しめています。

 4年前の福島第1原発事故でも、今も避難(ひなん)生活を送る人が大勢います。事故は他の原発でも起こりうることです。廃炉(はいろ)にするにも何十年もかかるといわれる原発。自分たちの世代だけでは責任を負いきれません。今の人間には核は制御(せいぎょ)しきれないと強く感じます。

 これからの社会を担う私たちは、未来について考えていく責任があります。将来、核とどう付き合っていくか、原発をどうしていくか、人ごとだと思わず、しっかり考えていきたいです。(高3平田智子)

(2015年6月16日朝刊掲載)

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