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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「平和をねがう『原爆の図』―丸木位里・俊夫妻―」(楠木しげお著・くまがいまちこ絵) どんな戦争も忘れぬ

 主人公で画家の丸木位里(いり)・俊(とし)夫妻は、被爆直後の広島市に入り、地獄(じごく)のような惨状(さんじょう)を目にしました。3年後、「原爆ということばも、広島のことも、だれも口にしなくなった。これでいいのか」という疑問を抱きます。ヒロシマを知る自分たちが行動を起こさないといけないと思い、代表作「原爆の図」を描き始めるところからストーリーが始まります。

 私は、真っ黒に焦(こ)げた裸(はだか)の被爆者が大勢重なり合う「原爆の図」を初めて見た時、正直「怖い」と感じました。この本を読んで、「原爆を忘れてほしくない」と訴えるため、あの悲劇を細かく、何作も描いて伝えようとした二人の願いが絵に込められていたことを知りました。被爆者のうめき声や、においも伝わってくるかのようです。

 大虐殺(だいぎゃくさつ)のあった中国の南京やポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡、地上戦が続いた沖縄など、世界中を回って、戦争の悲惨(ひさん)さを表現してきた二人。ヒロシマだけでなく、世界で起きたどんな戦争も忘れてはいけないという思いを強くしました。(高2森本芽依)

(2015年4月20日朝刊掲載)

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