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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「おこりじぞう」(山口勇子作・四国五郎絵) 文と絵から悲惨さ実感

 広島に原爆が落とされた日の前後を、街の横丁で見続けたお地蔵(じぞう)さまの物語です。お地蔵さまの表情を通して、当時の状況(じょうきょう)が伝わってきます。

 ひどいやけどをした女の子が水を求めてお地蔵さまのところへたどり着く場面が印象に残りました。女の子は、お地蔵さまの笑った顔を、お母さんだと思って見つめます。絵では、その目がとても悲しそうに描かれていました。原爆は女の子の体も心も大きく傷つけたのだと感じました。

 児童向けのこの本は、原爆直後に上がった火柱(ひばしら)を「あか、だいだい、おうどいろ、くろ、いろいろな色のまじりあった火のかたまり」と書いています。巧(たく)みな分かりやすい表現だと感じました。ジュニアライターとして記事を書くうえでも参考になります。

 この本を読むと、被爆時の悲惨(ひさん)さが文章と絵から伝わってきます。子どもから大人まで幅広(はばひろ)い年齢層(ねんれいそう)に読んでほしいと思います。この作品を基に、被爆した人が作った紙芝居や、ビデオもあるので、そちらも見てみたいです。(高1中野萌)

(2015年2月10日朝刊掲載)

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