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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「はだしのゲン」(中沢啓治著) 惨状からの復興学ぶ

 「はだしのゲン」は、中沢啓治(なかざわ・けいじ)さんが自分の体験をもとに、太平洋戦争時から戦後の日本を力強く生きるゲンを通して、戦争の悲惨(ひさん)さを訴(うった)えた作品です。私はこの本を小学生のときに初めて読みました。描写(びょうしゃ)がリアルな漫画(まんが)で、怖(こわ)くて全10巻を読み通せませんでした。

 今も印象に残っているのは、ゲンが原爆の熱線でひどく火傷(やけど)を負った画家志望の吉田政二さんの世話をする場面です。「原爆の毒がうつる」と言われていた彼に、ゲンが心から向き合う姿に感動しました。うわさに流されなかったゲンだからこそ、政二に絵を描くという希望を与(あた)えられたのだと思いました。

 高校生になってから再び読みました。小学生のときとは違(ちが)い、戦争への反対運動や広島東洋カープの設立など、戦後の復興についてよく理解できました。

 「はだしのゲン」は子どもたちに、原爆・核がある世界の怖さ、放射線で苦しむ人が出てくることを教えてくれる作品です。(高1新本悠花)

(2015年1月19日朝刊掲載)

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