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ジュニアライター発信

Peaceあすへのバトン 10年目のジュニアライター卒業生の今 大学生・大友葵さん=東京都

6年の成長 油絵に映す

 家具職人になりたいと思い、広島に住む家族と離れて北海道の高校に進学しました。そこで、油絵と出会いました。今は、大きなキャンバスを目の前にして、大学の卒業制作に打ち込む日々です。

 もともと、絵を描くのが好きでした。ジュニアライターとして活動していた時には、震災と子どもをテーマにした1ページ特集の紙面に、少女と虹のイラストを載せたこともあります。ジュニアライターや広島東洋カープの選手たちが字札を考えた「平和かるた」の絵札も担当しました。

 中学を卒業した後、北海道北部にある、おといねっぷ美術工芸高(音威子府村)に入りました。初めは工芸コースに進むつもりでしたが、1年生の時、先輩が描いた油絵に魅せられました。犬のふさふさした毛並みや、一つ一つ丁寧に描かれた河原の石―。「私も」と美術コースに決めました。

 広島に戻って進学した短大でも油絵を続けました。個展も2回開催。「いろんな意見がもらえて、作品を客観的に捉えられた」。短大で教授から受けた「美術大に行けるぞ」の一言に励まされ、3年での編入を果たしました。

 静物画が好きです。それは「モチーフは一緒だけど、自分の感じたものがキャンバスに入るから」。明るい気分の時は明るく、暗い気持ちの時は暗い画面になります。描いている時の感情も、そのまま絵に反映されるのです。作品を見た人に「人柄が出ているね」と言われると、うれしくなります。

 気持ちが進まない時の気分転換は、部屋の片付けです。部屋がきれいになると、すっきりするんです。

 今取り組んでいる卒業制作では、F100号という、約130センチ×162センチのキャンバス2枚を使用します。具象と抽象の間で自画像を描こうと思っています。これまでで最も大きな作品になります。

 「22歳のいま」がテーマ。「この6年間をどう表すか。今の自分を描くことが、今までの全ての自分を描くことにつながる」と考えています。作品は、12月末に教授たちから講評を受けた後、来年2月22日~3月5日には国立新美術館(東京都港区)に展示されます。

 卒業後は広島に戻り、中学校の教壇に立ちます。人と話すのが苦手だったのが、ジュニアライターの活動を通して抵抗がなくなったこともあり、子どもたちとのやりとりも今から楽しみです。自身の中学時代の美術の授業を踏まえて、「型にはまらない、面白い授業をしたい」。もちろん制作活動も続けます。(二井理江)

(2016年10月24日朝刊掲載)

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