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ジュニアライター発信

どう感じた?オバマ氏演説 昨年のNPT会議取材のジュニアライターに聞く

 現職の米国大統領として被爆地広島への歴史的訪問を果たしたオバマ氏。平和記念公園(中区)での演説について、昨年、米ニューヨークの国連本部で開かれた5年に1度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を中国新聞ジュニアライターとして取材した2人に感想を聞いた。

8・6思い起こす熱気 関心の芽生えに期待

 公園周辺は、平和記念式典のある8月6日朝を思い起こさせるほど、熱気に満ちていました。幅広い世代の市民や国内外の観光客、メディアなど多くの人々が、歴史的瞬間を一目見ようと詰めかけていました。

 昨年の再検討会議の取材で、強く感じたことがあります。それは市民社会の重要さです。政治を動かしているのは、どこか遠い存在でなく、私たちと同じ「人間」。核兵器廃絶を実現させるには、政治を動かす人の心を動かすことが欠かせません。その役割は市民社会にあると学びました。

 普段の生活の中では私たち広島市民でさえ、核兵器や戦争について深く考える機会はあまりないかもしれません。今回、平和に興味のない人の心にも、関心が芽生えたのではないかと期待します。世界の市民社会に訴える機会となり、核兵器廃絶に向け大きな一歩が生まれるよう願います。(高2溝上希)

被爆者と言葉重なる ごく一部が参列 残念

 オバマ氏の訪問は、核兵器廃絶に向けた希望をもたらしたと感じます。過ちを犯した過去を学び、戦争を少なくするという演説に込めたメッセージ。自分が被爆者から何度も聞いた「過去を恨むのではなく、未来へ向けて協力したい」という言葉と重なりました。

 昨年の再検討会議では、米国とロシアが互いに非難し合った揚げ句、決裂に終わりました。「核兵器廃絶はもう無理かもしれない」。そんな空気を今回拭い去ってくれたような気がします。

 しかし、オバマ氏の言葉を直接聞き、表情を見ることができたのは、ごく一部の人でした。周辺に集まった国内外の多くの人は、同じ空気を共有できませんでした。その中には被爆者も含まれており、残念です。大統領を退任してからも、広島での体験を忘れず、核兵器廃絶を積極的に進めてほしいです。(高3二井谷栞)

(2016年5月30日朝刊掲載)

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