[ジュニアライターこの一作] 「職業は武装解除」(瀬谷ルミ子・著)
16年2月22日
平和つくる難しさ実感
武装解除という職業を私は初めて知りました。紛争地(ふんそうち)などに行き、兵士を社会復帰させるため、除隊させて武器を回収する仕事です。
紛争地では、社会復帰した元兵士の生活を安定させるため、罪を許し、職業訓練などの恩恵(おんけい)が与(あた)えられます。その一方、家族を失ったり避難民(ひなんみん)になったりした人たちに同じレベルの恩恵は行(い)き渡(わた)りません。私だったら、自分や家族を傷つけた元兵士が社会復帰し、幸せに暮らすのを見るのは耐(た)えられません。
紛争地の人々が理不尽(りふじん)さをのみこみ、加害者である元兵士の裁きを諦(あきら)めるのは「平和」のためです。日本には当たり前のようにある平和を、紛争地の人々は少しずつ積み上げてつくっています。
私は平和のことを分かったつもりでしたが、この本を読んで、どれだけ平和をつくるのが難しいか思い知らされました。武装解除は危険と隣(とな)り合わせ。すごく厳しくて、大切な仕事だと思いました。
世界の紛争地には自由を制限された多くの人がいます。それに対し、私には自由があります。有効に使い、自分にできることを考え、行動に移していきたいです。(中2岡田日菜子)
(2016年2月22日朝刊掲載)