×

ジュニアライター発信

ジュニアライター藤井さんに 故米倉斉加年さん直筆はがき 戦争体験絵本の紹介記事が結ぶ 広島

 平和や戦争に関する本などを紹介する連載「この一作」で、絵本「おとなになれなかった弟たちに…」を取り上げた中国新聞ジュニアライターに、作者で俳優の米倉斉加年さんが生前、感想を記した直筆はがきが贈られた。仲介したのは、原爆資料館(広島市中区)の館長を務めた故高橋昭博さんの妻史絵さん(78)=西区。「米倉さんの平和への思いを若い人につないでほしい」と、自らに届いたはがきをプレゼントした。

 絵本は、米倉さんが実体験を基に描いた。戦争中で食糧不足のころ、赤ん坊だった弟のミルクを何度か盗み飲みし、弟が死んでしまう話だ。中学2年のジュニアライター藤井志穂さんが紹介記事を書き、2014年7月8日に掲載された。

 史絵さんがそれを読み、以前から親交のあった米倉さんに紙面を切り抜いて郵送。12日の消印で、米倉さんの返事が自宅に届いた。

 「良い書評をありがとうございます。とてもうれしかったです」。感謝の言葉に続き、「昨今の日本は、またまた、戦争する国へと向かっているようでおそろしいです」などとつづられている。米倉さんは、この1カ月余り後、14年8月26日に80歳で亡くなった。

 史絵さんが最近、藤井さんに関する記事を見て「藤井さんに持っていてもらう方が米倉さんも喜ぶ」とはがきを贈ることにした。受け取った藤井さんは「うれしい。感激です。宝物にします」と喜んでいた。「絵本のように、大人になれずに死んでしまう子どもが世界には今もたくさんいる。少しでも減るよう国際協力や平和活動をしたい」と話していた。(二井理江)

(2016年1月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ