[ジュニアライターこの一作] 「やなせたかし明日をひらく言葉」(PHP研究所編)
18年3月26日
従軍体験 創作の背景
アニメ「アンパンマン」の作者で知られる、やなせたかしさんは2013年に亡くなりました。生前の思いがつづられています。
21~26歳の時、軍隊で過ごしたやなせさんは重い大砲(たいほう)を馬に引かせながら、1日40キロ歩くなど重労働を経験しましたが、「何よりもきつかったのは飢(う)えだった」と振(ふ)り返ります。この思い出がアンパンマンの誕生につながります。
おなかのすいた人がいればすぐに飛んで行き、一切れのパンを食べさせてくれる人がいたらいいな―。その考えが作品に。幼稚(ようち)園生だった頃(ころ)の自分もアニメを見て好きになりました。正義のために戦い、困った人に顔をちぎって差し出すヒーローの姿を、自分も見習いました。
それから10年以上たち、このストーリーに戦争が関係していたと知り驚(おどろ)きました。戦争を想像するしかない自分たちにできることは、戦争を経験した人から話をしっかり聞き、学ぶことだと思いました。
70代直前で作品がヒットするまでの山あり谷ありの人生も書かれています。戦争からはい上がり、妻を病気で失いながらも、漫画(まんが)家として私たちに夢を与(あた)え続けてくれたやなせさん。生き方を学んで、自分に再び勇気が湧(わ)きました。(高2井丸貴拡)
(2018年3月26日朝刊掲載)