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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 思い ナガサキも同じ 「長崎の鐘」(永井隆著)

 長崎医科大(現長崎大医学部)に勤務中に被爆した永井隆(ながい・たかし)博士が書いた原爆の記録です。人々が建物の下敷(したじ)きになった様子や、さまざまな場所から見たきのこ雲の色などが詳細(しょうさい)に記され、当時の情景がありありと目に浮(う)かんできます。

 私はこれまで、原爆の恐(おそ)ろしさを知っているつもりでした。しかしこの本を読み、その破壊力をしっかり理解していなかったことに気付きました。おそらく、原爆資料館を見学する際も、見るのがつらい展示は、知らず知らずのうちに目を背けていたからだと思います。

 永井博士の言葉で一番印象に残ったのは「人類よ、戦争を計画してくれるな。原子爆弾というものがある故に、戦争は人類の自殺行為(こうい)にしかならないのだ」という言葉です。原爆は人類の悪意の塊(かたまり)であり、二度と繰(く)り返してほしくないという思いが伝わってきました。

 また、原爆被害(ひがい)を考えるときに、広島だけを思い浮かべるのではなく長崎のこともしっかり考え、学ぶことが大切だと感じました。「原爆がもたらした痛みと、平和への願いを世界中の人々に知ってもらいたい」という私たちの思いは、ナガサキも同じだからです。(中3川岸言織)

(2017年12月25日朝刊掲載)

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