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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「イクバルと仲間たち 児童労働にたちむかった人々」(スーザン・クークリン著)

過酷な実態知り驚き

 4歳からじゅうたん工場で働き、後に児童労働の実態を世界に訴(うった)えたパキスタンの少年イクバル・マシーの体験を通し、過酷(かこく)な労働を強いられている子どもたちを紹介するノンフィクション作品です。

 児童労働とは、両親の借金返済や、家計を助けるため、子どもが紡績(ぼうせき)工場やれんが工場などで大人のように働くことです。イクバルは週に6日、毎日12時間働き、1日の稼(かせ)ぎはわずか1ルピー(約2・6円)でした。小さなミスでなぐられたり、罰金(ばっきん)を科せられたり。食事はご飯と豆だけのことが多く、病気やけがをしても治療(ちりょう)を受けられず、発育も妨(さまた)げられました。

 私はこの本を読むまで児童労働について何も知りませんでした。同世代の子どもたちが、1日に何時間も働いていることを知り、驚(おどろ)きました。背景には、貧困問題だけでなく、先進国の消費者が、児童労働で作られたことを知らずに、安い物を買い求めることにも原因があると思います。

 「子どもが使うべきものはペンで、仕事の道具ではありません」とイクバルは訴えます。私たちも児童労働の実態を知り、反対の声を上げることが大切です。募金(ぼきん)を集め、現地に学校を建てて、教育環境(かんきょう)を整えることも改善の第一歩につながるのではないでしょうか。(中2田所愛彩)

(2017年8月21日朝刊掲載)

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