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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「広島の木に会いにいく」(石田優子著)

被爆樹木を守りたい

 原爆を耐(た)え抜き、今も広島で生きる被爆樹木。一本一本が語りかける「何か」を探しに、筆者は樹木医の堀口力さんと一緒に広島の街を歩きます。木にまつわる市民の思い出を聞いて、大学の研究者にも会います。被爆樹木について学べるハンドブックです。

 被爆後も台風にめげず、枝がうねりながら伸(の)びる広島城(中区)のユーカリ、爆心地側の木肌(はだ)がでこぼこしている中区基町にそびえる高さ約30メートルのクスノキなどが登場。樹齢(じゅれい)200年以上といわれるイチョウが紹介(しょうかい)された縮景園(中区)へは、私も探しに行きました。中には「ひこばえ」と呼ぶ「子ども」が生え、生命を紡(つむ)ぐ木があることを知りました。

 堀口さんの「耳を傾ければ木の声が聞こえてくる」という言葉に驚(おどろ)きました。私は今まで、原爆の記憶を後世に伝えるため語ってくれているのは、被爆した人だけだと思っていました。しかし被爆樹木も言葉でなく、見た目や根の生え方で教えてくれていると気付き、よく観察してみようと思いました。

 そうやって、私は被爆樹木の「声」をちゃんと聞いて発信していきます。そして、いろいろな「声」を聞かせてくれる被爆樹木を大切に守っていきたいです。 (中1林田愛由)

(2017年7月24日朝刊掲載)

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