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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「ひろしまのピカ」(文・絵 丸木俊)

身に迫る原爆の恐怖

 「青白い100も200ものかみなりが、いっぺんにおちたよう」。原爆から飛び出た光をこう表しています。初めて聞いた表現だったので、僕はちょっとびっくりしました。まぶし過ぎて、本当に何も見えない様子が伝わってきました。

 この本は、「みいちゃん」という7歳の女の子とその家族を描(えが)いています。家で朝ご飯を食べていた時、原爆は投下されました。家族が逃(に)げる場面は、愛情や絆(きずな)、生きることへの必死さを感じます。

 重い木の下からはい出したみいちゃん。火の中にいるお父さんを見て「だめじゃ」と思った時、お父さんは炎(ほのお)の中から現れました。とっさにお母さんはお父さんを救い出し、背負ったまま地獄(じごく)の街を走り回ります。どうしても家族を救いたい母の強い気持ちが分かりました。

 目に入る絵も、生々しいです。真っ黒で裸(はだか)になった人々がページいっぱいに描かれています。自分も一緒(いっしょ)に苦しんでいるような気になりました。これまでの取材で被爆者から体験を聞き、頭の中で想像していた光景が、カラーで目の前に広がりました。原爆の恐ろしさがより巨大(きょだい)になって、自分に迫(せま)ってくるようでした。(中2フィリックス・ウォルシュ)

(2017年1月9日朝刊掲載)

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