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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「僕たちは世界を変えることができない。」(深作健太監督)

行動起こす意味問う

 この映画は「ありきたりな毎日を変えてくれる何かを探していた」大学生が、小さなきっかけからカンボジアに学校を建てようと支援(しえん)に立ち上がるストーリーです。

 建設に必要な150万円を集める中、彼らはカンボジアを訪れ、日本での「当たり前」が現地では通用しない現実に直面します。学校がない、学校に通うことができない、識字率が低い…。内戦が終わっても地雷(じらい)は残り、人々の心の傷は癒(い)えません。エイズなどの問題もあります。ショックを受け帰国しましたが、彼らはさらに必死に資金を集めることになりました。

 自分たちの平和への訴(うった)えが世界にどんな影響(えいきょう)を及ぼすのか、意味のある行動なのか―。この疑問は、私も2年前、高校生平和大使として、スイスの国連欧州(おうしゅう)本部を訪れた時に持っていました。今回、この作品を思わず手に取ったのは、タイトルが自分の問いと重なるよう感じたからでした。

 すぐに答えは出せないかもしれません。しかし、学生がアクションを起こす意味と、これから自分に何ができ、何をしていきたいか考える機会を、この映画は与(あた)えてくれたと思います。(高3岡田実優)

(2018年10月15日朝刊掲載)

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