×

ジュニアライター発信

[ジュニアライターがゆく] 身近にできる国際支援

協力 寄付だけじゃない

 地球上では2018年、約530万人が5歳を迎(むか)えることができませんでした。国連児童基金(ユニセフ)の調査です。貧困や紛争、自然災害など過酷(かこく)な環境で暮らし、命を落としているのです。中国新聞ジュニアライターは、世界の子どもたちにどのような支援をすることができるのか、広島県内や東京の国際支援団体を取材しました。調べてみると、寄付だけでなくさまざまな方法で協力できることが分かりました。書き損じや未使用のはがきを募っている団体もありました。少しずつ始めてみませんか。

紙面イメージはこちら

世界のいまを知ろう 広島県ユニセフ協

 広島県ユニセフ協会(広島市中区)に、発展途上国の子どもたちの現状や、若者ができる国際支援について聞きました。

 同協会は、190の国と地域で子どもたちを支援するユニセフを広島で支援しています。街頭募金をしたり、児童労働や難民(なんみん)など10のテーマについて学ぶ出前授業を開いています。事務局長の高田和美さん(60)が、写真で子どもたちの様子を説明してくれました。例えば、5歳未満の4人に1人は栄養失調。約6100万人は学校に通えないそうです。

 ユニセフは集まった寄付を支援物資に充てています。感染症予防のためのワクチンや、ピーナツバターに似たペースト状の栄養治療食(えいようちりょうしょく)、経口補水塩などを実際に見せてもらいました。想像以上にたくさん種類がありました。

 高田さんは若者に向けたメッセージとして「豊かな生活の裏側でどんなことが世界で起きているのか、まず知った上で行動してほしい」と話しました。

学食使い途上国応援 広島市立大サークル

 広島市立大(安佐南区)のサークル「S2(エスツー)」は、食事を通じた国際支援に取り組んでいます。

 大学の食堂で、1食につき20円を発展途上国の子どもに届ける活動です。20円は発展途上国の給食1食分になり、集まったお金は「テーブルフォーツー(TFT)」事務局(東京)に送っています。

 国際学部2年で部長の谷野詠春さん(19)たちによると、1、2年生計11人が活動しています。毎週木曜のメニューの一つに取り入れているこの活動は、2014年に始めました。

 最近は利用者が少ないので、ツイッターで献立(こんだて)を発信したりチラシを配ったりしてPRしています。谷野さんは「負担(ふたん)を感じず手軽に続けられるのがいい。参加する人が増えてほしい」と話しました。

 食堂は一般の人も利用できます。

捨てていたもの活用 切手・キャップ

 広島国際会議場(広島市中区)1階にある国際交流ラウンジで、使用済み切手とペットボトルのキャップを集めています。ジュニアライターは、集まった切手を整理するボランティアに参加しました。

 専用ボックスから大量の切手を取り出し、周囲をきれいに切っていきます。見たことがないような海外の切手などがあり、楽しみながら作業しました。日本キリスト教海外医療協力会(東京)に送った後、コレクターに売って得たお金を発展途上国の医療者を育てたり派遣(はけん)したりする活動に充てるそうです。

 ペットボトルのキャップは広島市内の団体を通じて東京のNPO法人に送ります。子ども用のポリオなどのワクチン購入費になります。生活の中で少し意識すれば、捨てていたものを支援につなげることができると分かりました。

私たちが担当しました
 この取材は、高3鬼頭里歩(イラストも)、高2伊藤淳仁、及川陽香、目黒美貴、フィリックス・ウォルシュ、中3桂一葉が担当しました。

(2020年2月11日朝刊掲載)

【取材を終えて】

 国際支援と聞くとすごく大変なことのように聞こえますが、気軽に参加できるものだと知ってもらえたら嬉しいです。また、友人や家族に呼び掛けることで支援の輪を少しずつ広げていきたいです。国際ラウンジで体験した、切手の整理作業は楽しくて思わず熱中してしまいました。誰でも簡単にできるので、ぜひ参加してみてください。(高3鬼頭里歩)

 ユニセフの取材では、世界の子どもたちの現状を広く知ることができました。私の日常とは全く違った暮らしをしている子どもたちを想像すると、今の自分の暮らしがいかに恵まれたものかをあらためて実感しました。もっと多くの人がこの現状を知り、関心を持ち続けるべきだと強く思いました。(高2目黒美貴)

 私たち日本人は、毎日当たり前のようにご飯を食べています。その一方で、世界には飢餓や栄養失調で苦しんでいる人が約10憶人もいます。その人たちのために、自分たちがTFTメニューを食べることで募金をすることができます。食を通しての国際支援をすることで当たり前の有難さがわかります。より多くの人にこの活動を知ってもらい、一人でも多くの子供たちが幸せになってほしいです。(高2及川陽香)

 僕は広島県ユニセフ協会での取材に参加しました。ユニセフの活動や子どもたちの現状について実際の物資を見せていただきながらお話を伺い、実際に世界で起こっている現実なのだと実感しました。また、知らないことがたくさんあるのだと感じ、自分が知らないことについてもっと知りたい、詳しく調べていきたいと思いました。(高2伊藤淳仁)

 広島市立大学の国際学科の学生によって結成されている「S2」が2014年から食堂にTFTメニューを並び続けさせている学生の意志の強さを感じました。また、私たち中高生と歳はそれほど離れていないことから、私たちにも日本、もしくは世界を手助けできる活動を広め、実施することができるのだということが分かりました。(高2フィリックス・ウォルシュ)

 TFT活動は、「食」という身近なものにプラスした物だからとても参加しやすいと思いました。プラスしたもので発展途上国の子どもたちの給食になるのはすごくいいことだと思い、私もできるだけそのようなものを食べたいです。広島市立大学へTFTメニューを食べに行くのは少し難しい時は、フェアトレード商品など意識して購入しようと思いました。この取材ができてとてもよい経験になったりし、発展途上国のためになることをしていきたいです。(中3桂一葉)

年別アーカイブ