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ジュニアライター発信

[ジュニアライターがゆく] 広島サミットまで5ヵ月 外国語でヒロシマ伝えたい

 今からちょうど5カ月後の来年5月19日から、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が広島市で開かれます。日本と米国、英国など7カ国の首相や大統領、政府関係者や大勢の報道関係者が訪(おとず)れます。広島が注目され、海外からの旅行客も大きく増えると予想されています。いろんな外国の言語を通して、広島の原爆被害や、核兵器のない世界への市民の願いを知ってもらう機会が増えるはずです。

 これから5月にかけて、ジュニアライターはサミットに関する話題や取り組みを記事で紹介したり、疑問を探(さぐ)ったりしていきます。今回は、英語でヒロシマを伝える人たちを取材しました。

HIP

平和公園碑巡りガイド

私たちも体験 勉強の大切さ痛感

 原爆資料館(広島市中区)がある平和記念公園とその周りには、原爆の犠牲者(ぎせいしゃ)を慰霊(いれい)する碑(ひ)があります。市民団体「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」(HIP、小倉桂子代表)は、外国人観光客に公園内を英語で案内するボランティア活動をしています。

 1984年の結成で、会員は小学生から英語の専門家まで約200人。二川一彦さん(76)は、母親のおなかの中で原爆に遭(あ)った胎内被爆者です。英語学習に興味はありましたが、仕事などで使った経験はありません。小倉さんから提案されて英語での証言活動を決意し、猛勉強(もうべんきょう)したそうです。

 被爆した時の記憶はないため、家族の体験を話しています。英語で直接、個人のエピソードを加えて話すことで「よりリアルに伝わる」と実感しています。

 私たち10人はHIPの学習会に参加してガイド活動を体験しました。

 グループに分かれて公園を1時間半ほど歩き、原爆慰霊碑や原爆の子の像など8~10カ所を巡(めぐ)りました。メンバーの里眞一さん(61)が、碑建立(こんりゅう)の背景を英語で説明し、私たちも続いて声を出しました。「爆心地(ハイポセンター)」など発音が難しい英単語に苦戦しました。

 ガイドのポイントは、慰霊碑の名前と建立の年は記憶しておく▽原爆慰霊碑、原爆ドーム、原爆の子の像の3カ所は必ず案内▽自分が邪魔(じゃま)にならないよう、立つ位置に注意―などだそうです。

 2020年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響(えいきょう)で活動を休止した期間中は、英語版のサイトを作りました。広島訪問が難しい人のため、慰霊碑を説明する動画を載(の)せています。

 言語の壁を越えて「本気で伝える」という意志を感じました。ガイドを体験してみると、意外と難しく、勉強や訓練が必要だと痛感します。英語で平和を発信するHIPの活動は大きな役割を担っていると思いました。

HIGA

言葉のプロ もてなしの心で

 「ひろしま通訳・ガイド協会」(HIGA)は「全国通訳案内士」の国家試験に合格し、ガイドや通訳の仕事をしている人たちの団体です。会員は234人。英語やフランス語など8カ国語のプロがいます。

 英語担当の畝崎雅子会長(64)、村上哲啓さん(71)、中尾好美さん(61)、河村玲美さん(46)に聞きました。

 会員は、個人旅行客から海外クルーズ船の団体客まで幅(はば)広く対応しており、平和記念公園や宮島などあらゆる場所に同行します。村上さんは「自分たちのガイド次第で、世界での広島の印象が決まる」と考え、相手の多様な価値観を尊重(そんちょう)しながらの会話を大切にしています。

 国際会議にも関わってきました。2016年4月には、広島で外相会合が開かれました。7カ国の外務大臣たちをおもてなしするプログラムなどで会員が活躍(かつやく)しました。

 広島は、被爆地として世界中に知られた都市です。被害の実態を知りたいと希望する人、原爆を投下した米国からの旅行者、中には「原爆投下は必要だった」と考える人も案内します。日本の他の地域では、なかなかない経験です。河村さんは「誰と接する時も、原爆の犠牲者を思いながら平和を願う心を伝えている」と話しました。

 HIGAは、県内のタクシー会社や観光事業者を対象に研修を開いています。宗教上の食事制限や、簡単なコミュニケーションに便利な翻訳(ほんやく)アプリの使い方について説明しています。「広島全体におもてなしの心を広げたい」と畝崎会長は意気込んでいます。

 最近、市中心部で外国人観光客の姿を再び見るようになりました。中尾さんは「笑顔で声をかけるだけで海外の人は安心する」といいます。また広島に来たい、と思ってもらうため、私たちにもできることがあります。

被爆体験伝承者

歴史直視 未来つくる

 高齢(こうれい)になった被爆者に代わって「あの日」の体験を証言している人たちがいます。岡本とし子さん(69)=広島県府中町=は、広島市の「被爆体験伝承者」です。原爆資料館を訪(おとず)れる外国人観光客に、英語で故寺本貴司さんと、寺前妙子(たえこ)さんという2人の被爆者の体験を語っています。

 米国に住んだ経験があり、英語が得意。約30年前に東京から広島に引っ越(こ)してきて以来、「世界の人に広島のことを説明できるようになりたい」と学び続け、原爆資料館の展示を案内するピースボランティアとしても活動しています。

 外国人に英語で直接語ることで、より深いコミュニケーションになるといいます。「『核兵器を使ってはいけない』と共感された時にやりがいを感じる」そうです。

 被爆者のあまりにつらい体験や、被害(ひがい)の甚大(じんだい)さを説明すると、米国から来た人は「日本人は米国を恨(うら)んでいますか」と緊張(きんちょう)した様子で聞いてきます。涙(なみだ)を流す人も。岡本さんは「二度と戦争が起こらないように手を取り合い、未来を考えましょう」と答えています。

 講話の中で、ベトナム人女性が険しい表情を向けてきたことがありました。旧日本軍によるアジア諸国(しょこく)での加害の歴史が背景(はいけい)にあるのではないかと考え「原爆被害を伝えるには自国の歴史を学ぶことも大切だと気付いた」と振(ふ)り返ります。

 戦争に対する海外の人たちの考えを知ることは、日本の歴史を知ることでもあります。その上で、被爆者の平和への願いをどうやって相手の心に響(ひび)くように伝えることができるのか、岡本さんたちは考えながら活動しています。使う言葉が英語でも日本語でも、一人一人の努力と行動が未来の平和をつくると感じました。

G7サミット
 先進7カ国(G7)の首脳が参加して毎年開かれる国際会議です。日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダがメンバーで、欧州連合(EU)も加わります。政治や経済をはじめ、地球温暖化など国際社会全体の課題を話し合います。

 核保有国が参加するため、核軍縮・不拡散がテーマの一つとなるかが注目されます。今年はドイツ・エルマウで開かれ、ロシアによるウクライナ侵攻に関しても議論しました。日本が議長国となる来年については、岸田文雄首相が広島開催を表明しました。5月19日から21日まで開かれます。

私たちが担当しました

 この取材は、高3佐田よつ葉、高2中島優野、三木あおい、高1田口詩乃、小林芽衣、中3森美涼、相馬吏子、谷村咲蕾、小林由縁、藤原花凛、殿重万桜、殿重里桜、中2戸田光海、山下裕子、中1川鍋岳、佐藤那帆が担当しました。

(2022年12月19日朝刊掲載)

【取材を終えて】

~「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」(HIP)取材感想~

 平和公園を案内して下さった男性は、「仕事勤めを終えて生まれた余暇を社会貢献に費やしたかった」と活動を始めるきっかけを話しました。HIPには、そうした平和事業に関して向上心の強い人が集まっていることが分かりました。また、「平和の灯火」の台座は、空に向かって広げた手のひらを表していることや、「原爆ドーム」はなぜ全壊しなかったのかを新しく知り、その遺構の意義をより深く学べました。私もガイドを行う際は、相手が納得できるような説明を心がけたいです。(高3佐田よつ葉)

 今回は、平和記念公園で英語でのガイドを行っているボランティアグループ、HIPの皆さんのガイドを体験しました。HIPとは「ヒロシマ 通訳者 平和のための」を英語にしたときのそれぞれの頭文字をとって名付けられたそうです。ジュニアライターとして、体験兼取材という意味合いで参加したのですが、実は平和記念公園に行くのはまだ3回目だったので、純粋にガイド案内を受けたことがとても楽しかったです。

 私が参加したグループで案内して下さったのは、福村さんと加利川さんでした。加利川さんは、7年前にご自身がゲストとして参加し、英語の勉強且つ、誰かの役に立つ活動をしたいという想いのもと、ガイドになることを決めたと言います。

 お二人からの案内の中ではゲストに対してのたくさんの心配りがありました。まず、立ち位置です。碑がメインなので決して碑と自分の立ち位置が被らぬよう、角度を見つけて案内して下さいます。また、英語で話す際に難しい箇所やキーポイントとなるフレーズの部分はプリントアウトして、実際にその用紙を出し、視覚的に大事なところを示すという工夫されていました。

 次に、他グループの邪魔にならないようにするということです。どの碑から順に巡るかというマニュアルはありますが、一つの碑に三つのグループが集まりそうだと思ったら順番を変えるなど、臨機応変に対応しているそうです。

 そして、私が一番驚いたのは、ゲストの交通手段も頭に入れながら案内するということです。例えば、広電で来ているのなら、最終場所を原爆ドームにしてそのまま解散します。そうすると、もし駅はどこかと尋ねられても分かりやすく、ゲストも時間を無駄にすることが無くなるというように、本当に細かいところまで配慮がされていて驚きました。

 ここ数年はコロナ禍で規模を縮小せざるを得ませんでしたが、最近は徐々にゲストも増えていき、G7が広島で行われるということで、質問をしてくる外国人も多いそうです。HIPの皆さんの活動によって、より多くの人達が広島の地に興味を持ってくれているということがすごく嬉しいです。(高1小林芽衣)

 平和公園のガイドは聞いたことがありましたが、英語でのガイドは初めて体験しました。実際に自分で説明してみると、普段では使わない単語や、難しい発音などでスラスラと話すことが難しかったです。また、被爆や爆心地などのわかりにくい単語は、ガイドをしている相手に意味が伝わらないことが多く、そのような時は伝わるように言い換えなければならないと知り、臨機応変に対応することが大切だなと思いました。一人で平和公園を全てガイドすることは難しいですが、しっかり伝えるという気持ちで、自信をもって話せるように英語の練習もがんばりたいです。(中3相馬吏子)

 「英語ができるかどうかは問題ではなく、伝えようとする気持ちが大事」。そう聞いて、ガイドするのに大丈夫なの、ととても驚いた。しかし、実際にガイドを体験してみてその意味がわかった。もちろん英語ができる方がいいけれど、英語でガイドをするということは得意不得意でできるようなものではないと感じた。普段は使わないような単語もあり、何より英語であっても話す内容は原爆のことやその歴史のことだ。ヒロシマのことを伝えたい、という思いがなければ英語が得意でもなかなか難しいと思うし、逆にそれがあれば練習していくことで補えることなのだと思った。

 意欲をもってヒロシマを訪れてきている方が多い中で、目を見て丁寧に説明すれば伝わる。伝える側が思いを持っていないとなかなかそれには答えてもらえないだろう。これからもジュニアライターとして活動していく上で、自分の思いや意見を常に持っておきたいと思った。

 また、逆に英語ができることのよさも実感した。とっさに英語で話すことができれば、それだけ多くの人にヒロシマを知ってもらえ、考えてもらえる。また、自分の思いを伝え合うこともできる。自分の世界を広げる武器として、コミュニケーションツールである英語も大切にしていきたい。(高1田口詩乃)

 言語というのは大きな壁です。特に日本は英語教育が遅れ気味です。この中でも平和について考えてもらおうと英語でガイドされるのは根気がいることだと思いました。実際ガイドの台本を読ませていただいても、普通では使わない英語の単語も多くあって、自分の英語力のなさも相まってほとんど読めませんでした。内容が細かく書かれていたり、数値を紙に示したりして、英語になっても本気で伝えていくという思いが分かりました。自分はこれまで「世界に発信」と気軽に言ってきましたが、今回の取材で言語という壁をこえてやっと世界に発信できるのだと難しさを感じました。(中1川鍋岳)

 HIPについて、最初は英語が出来ないと難しいのだろうなと、英語力が最も重要な活動だと考えていた。だが、今回お話を聞いて、英語ももちろん大切だったけどゲストのことを思い、伝えようとする気持ちがより大切なのだと感じた。ゲストに伝えるために、相手に合わせてわざと話を削ったりするという話が印象的だった。(中3小林由縁)

 私は英語を話すことが得意ではなく、実際に英語ガイドの方法を学ぶまで英語で案内できるのか不安でした。しかしHIPの方に「自分が使える英語で文章を考えて覚えるといいよ」などとアドバイスをもらい案内をするときに気をつけることを教えてもらったことで、実際に外国の方に平和公園を案内してみたいと思うようになりました。これからたくさん練習をして自分で英語で平和公園を案内できるようになり、より多くの人に原爆や平和のことを伝えていけるようになりたいです。(高2中島優野)

 私達は平和のためのヒロシマ通訳者グループ、HIPでボランティア活動をされている山崎さん、粟飯原さんのお二人にガイドの仕方についてお聞きしました。私達は平和公園付近にある有名な10箇所をまわりながら、実際にガイドする際の英文を音読していきました。

 私が英語でのガイドの仕方を学んでいく中で感じたことは大切な単語が必ず一箇所あることです。知らなかった英単語がたくさんあり英語でガイドをすることの難しさを感じましたが、学んでいくにつれて大切なキーワードがあり、それを自分なりの英語で伝えようとすることが大切だと思いました。また、お話を聞いていく中で、山崎さんが箇所ごとにカードを作り、話すだけでは想像しづらい昔の様子についての写真を載せ、より理解を深められるよう工夫されていたことがとても印象に残っています。

 実際に外国人観光客の方々の立場から山崎さんのガイドを聞いてみると、出来事の流れを正確に理解することができました。今回の取材で学んだことを、これから外国人の方々に平和公園についてお話しする機会があった際、生かしていきたいです。(中1佐藤那帆)

 HIPの活動の中で、ある程度知識を持っている場所でも英語で案内するのは難しかった。まず、普段使わない英単語を使う。そして、ジェスチャーなどをしたくても、正しい情報を伝えるだけで精一杯だった。実際にHIPで活動する方は、紙芝居でより伝わるよう工夫していた。コロナの規制が緩和され始め、G7サミットが広島で開催されるなど、英語ガイドの需要は高まるはずなので、この活動は大きな役割を担っていると感じた。(中3森美涼)

~「ひろしま通訳・ガイド協会」(HIGA)取材感想~

 HIGAの皆さんが共通して主張されていたのは、「視野を広げることの大切さ」でした。英語学習に偏らず各国の歴史や文化を学ぶことの意義や、多言語の学習を通して思考を肥やすことの重要性を教えて頂きました。その中で特に印象的だったのは、「ガイドにおいては、正確な英語よりも充実したコミュニケーションが肝要だ」というお話です。失敗を恐れずに積極的に心を通わせようとすれば、相手からの信頼を得ることができます。これから実践していきたいです。(高3佐田よつ葉)

 私は、G7に向けて広島が一体となって盛り上がるためにも、積極的に外国人観光客と接することが必要だと感じました。私たちはプロではないので、広島を訪れた人に原爆のことや平和の大切さを外国語で伝えるのは難しいと思います。しかし取材を通して、うまく話せなくても、何か関わりを持つことに意味があると気付きました。平和を実現するためには、国籍や人種に関係なく声を掛け助け合ったり、笑顔で接したりすることが必要だからです。

 HIGAのみなさんは「自分たちのガイド次第で広島の印象が決まる」と話していました。私たち県民にも同じことが言えると思います。私たちが壁をつくってしまえば、観光客は広島に良い印象を持たなくなってしまいます。そうなれば、いくら広島から平和を発信しても、届かないはずです。

 私たちが積極的に外国人観光客と関わって広島を好きになってもらうことは、世界の人々に「広島の平和文化」を発信する大切な一歩だと思います。(中3藤原花凛)

 今まで戦争の体験などを取材する事が多く、平和をどうやって伝えるかについてのお話を聞かせていただくのが初めてだったので、少し新鮮でした。HIGAのみなさんがお客様一人一人の話を聞き、一人一人にしっかり伝わるよう伝え方を変えている事に凄さを感じ、改めて世界中の人々の思考や宗教などの違いと、それによって生まれてしまう溝を感じました。また、通訳の仕事は通訳をするだけのイメージがあったのですが、宿泊施設や食事の面まで、幅広い面で外国人の方をサポートし、そこから広島を、平和を知ってもらおうという話にとても驚きました。

 これから記事を書くにあたり、HIGAのみなさんがお客様の事を考えて伝え方を変えているように、私は読んでくださる方に、取材をさせていただいた方の平和への気持ちがどうしたら一番伝わるのか、読んでくださる方の気持ちに寄り添って書こうと思いました。(中2戸田光海)

~被爆体験伝承者・岡本とし子さん取材感想~

 岡本さんが伝承者として、被爆者の思いを受け継いでおられてすごいなと思いました。さらに、それを英語に翻訳して外国の方にも伝える行動力に驚かされました。

 私たち中学生は、平和学習でたくさんのことを学んできましたが、それを伝える機会があまり多くありませんでした。だから、こうしてお話を聞いて、伝える活動に携さわっておられる方と直接触れ合うことができてうれしかったです。

 岡本さんは「事実を伝えて、それを聞いた人が原爆に対する考えが深まるように」と願って活動されているということが分かりました。こうやって被爆者の方の思いを受け継いで、平和に向けて頑張っている方がおられるからこそ、この77年の間、戦争で核兵器が使われなかったのだと思います。これからは、私たちが受け継ぐ番だと改めて感じました。(中3殿重万桜)

 被爆者の思いを伝えていきたい、という岡本さんの熱意が伝わってきました。また、被爆者のお話を聞く機会はあっても、伝承者のお話を聞く機会はなかなかなかったので、とても貴重な経験になりました。私たちは、広島に住んでいるからこそ、何かできることはないか考える必要があるなと感じました。ジュニアライターの活動をするのは今回が初めてで緊張しましたが、他のジュニアライターのみんなが、次々と質問したり、伝承者の岡本さんと話していたりするところを見て、とても刺激を受けました。私もみんなのようなジュニアライターになるために、知識を身につけたり、コミュニケーション能力を高めていきたいです。(中3殿重里桜)

 私は、米国に原爆を投下されたという被害の面を知っていても、日本人が戦争中に虐殺や創氏改名の強要をしていたという加害の面についてはあまり知らないことを痛感しました。

 海外の方と英語でコミュニケーションをとるためには、知識もたくさん得なければなりません。ヒロシマを発信する立場として恥ずかしくないように、戦争が始まった原因や、そこであった出来事を学び続けようと思います。そして、広島にいるからこそ伝えられることを意識して、岡本さんのように、自分にできることからどんどんチャレンジしていきたいです。(中3谷村咲蕾)

 ピースボランティアと、被爆体験伝承者として活躍されている岡本さんが、東京都出身だと聞いて驚きました。広島と長崎に比べて原爆に関する平和教育の機会が少ない他県の方々が、現地の人と同じ様に問題意識を持つことは難しいかもしれませんが、核廃絶に向けては必要なことだと感じました。

 岡本さんは、「日本人は『加害』の歴史を実感できていない」と指摘しており、他国の視点を柔軟に受け入れることの重要性を強調していました。戦争や原爆を、自国だけの偏った見方で考えるのではなく、世界各地のあらゆる方面から見つめ直し、真の平和とは何か、答えを探し続けていきたいです。(高3佐田よつ葉)

 英語で平和公園のガイドや被爆体験伝承を行われている岡本さん。お話を伺って、その行動力の根底にあるものがわかったように思いました。それは、世界を平和にしたいという強い思いです。

 伝承講話中も、話を集中して聞いてもらえなかったり、日本の加害の歴史に関する鋭い指摘を受けたり、決して楽しいだけの活動ではないと思います。そんな中でも、勉強を続けて、より多くの人に伝承されているその気概やエネルギーは、そんな思いから来ているのだろうと感じました。「ヒロシマのことを知らない人や、触れていない人はたくさんいるからこそ、活動して広げていかなければならない」と話していました。

 私は、平和な世界にするため、ヒロシマを忘れないために、何か自分で行動を起こしたいと考えてジュニアライター活動を始めました。岡本さんのお話を聞いて、その思いを改めて確認することができました。まだまだ私にできることはあるのではないか、もっと自分から行動を起こしていこう。そんな風に考えさせられました。

 平和を考えるのは難しいし、簡単に答えが出るものでも、成果が現れるものでもないかもしれません。しかし、一人一人の行動や思いは誰かに影響を与え、確実に一歩を刻んでいると思います。例え回り道でも、その一歩の積み重ねが未来を創っていくと思います。チャンスを逃さずに、一歩を刻む勇気と行動力をつけていきたいです。(高1田口詩乃)

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