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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 ホロコースト伝える絵本 偏見や差別と向き合って

 ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺(ぎゃくさつ))の生存(せいぞん)者の実話をもとにした絵本「ホロコーストを生きぬいた6人の子どもたち」が出版されました。ナチス・ドイツによる迫害(はくがい)体験と、戦後の人生が漫画(まんが)で描(えが)かれています。

 主人公はポーランドやオランダに住んでいた子どもたち。第2次世界大戦中に、「ユダヤ人だから」という理由でナチスに「逮捕(たいほ)」されました。

 当時15歳(さい)のアレクさんは、アウシュビッツ強制収容(しゅうよう)所に入れられました。幼児(ようじ)や高齢者(こうれいしゃ)たちは「労働力にならない」とみなされガス室で殺されました。アレクさんは食べ物をほとんど与(あた)えられず、骨(ほね)と皮のような姿に。家族や親戚(しんせき)の多くが殺されました。このような出来事は「二度と起きちゃいけない」と訴(うった)えます。

 絵本は英国でつくられた映画(えいが)が基になっており、6カ国語で出版されています。日本語に翻訳(ほんやく)したNPO法人「ホロコースト教育資料センター」(東京)の石岡史子代表(52)は「あの人たちは私(わたし)たちと違(ちが)う、という考えが差別につながり『生きる価値(かち)がない』と命が奪(うば)われた」と言います。「偏見(へんけん)や差別は、現代社会を生きる私たちにもある」と話します。

 人種などにかかわらず人を同じ人間として捉(とら)えることや、差別と向き合うことを教えてくれる本です。合同出版。100ページ、1980円。(高3佐田(さだ)よつ葉)

(2023年1月30日朝刊掲載)

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