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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 韓国の祖父が語った植民地時代

 母方の祖父鄭斗永(チョン・ドゥヨン)は韓国人です。夏休みを利用して釜山まで会いに行き、8月6日を過ごしました。90歳を迎えた祖父から日本による植民地時代の体験を聞きました。

 広島では原爆の日に平和記念式典が開かれたり、原爆についてテレビ番組が放送されたりしますが、私が見た限りでは78年前の広島への原爆投下に関するニュースはありませんでした。ただ、日本の「終戦の日」と同じ8月15日は、韓国では日本による統治(とうち)から解放された「光復節」で、その時期は戦争関連の特集番組が組まれます。

 祖父は日本人の校長先生がいる国民学校に通い、「授業で習った童謡(どうよう)の『夕焼け小焼け』や軍歌を今でも口ずさむ」そうです。日本名を名乗らされ、祖父の名字は徳山でした。「創氏改名(そうしかいめい)」といいます。

 当時、つらかったり悲しかったりしたことがあったはずなのに、祖父は日本に対して悪いことを一切言いません。思いを包み隠(かく)さずに話してくれましたが、心の本当の奥底には複雑な感情を抱(いだ)いているのではないかと思いました。

 韓国にも被爆者はいるのに、広島の原爆について関心は低いと感じました。私も、被爆者の証言をソーシャルネットワークなどで積極的に発信していきたいです。(中3新長志乃)

(2023年8月21日朝刊掲載)

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