『ジュニアライター発』 夏休みの活動 <下> メキシコ友好州 広島県派遣事業
24年9月10日
被爆までの歴史・復興発信
メキシコ中部のグアナフアト州を8月中旬から9日間訪(おとず)れました。広島県の青少年交流派遣事業で、高校1~3年生10人が参加。現地の学生たちと文化交流を通して相互理解を深めました。
マツダが現地に車の工場を建設したことをきっかけに、県は同州と友好提携(ていけい)を結んで若者の交流事業も続けています。
私たちは州内の大学を訪問し、広島に原爆が投下されるまでの歴史や8月6日の平和記念式典について、事前に勉強して作成したスライドを使い英語で説明しました。参加者は真剣(しんけん)な表情で耳を傾(かたむ)けてくれました。
一般家庭にホームステイしました。4歳で入市被爆した祖母の体験を話すと「街はどう復興(ふっこう)したのか」と聞かれました。「人々の平和への思いと行動が支えた」と伝えました。
独特の伝統文化も興味深かったです。メキシコでは毎年11月初旬に死者を明るく迎(むか)える「死者の日」があります。その日に使う装飾(そうしょく)で、サボテンや骸骨(がいこつ)をかたどった切り絵「パペルピカド」を作りました。
現代はあふれるほどの情報をどこでも得られますが、若い世代同士が実際に会って語る機会は大切です。私にとって大きな学びになりました。(高1新長志乃)
米ロスでリーダー育成研修
同世代と核巡り意見交換
米日カウンシル―ジャパンが主催するグローバルリーダー育成研修「トモダチ・トシゾウ・ワタナベ・リーダーシッププログラム」に参加し、8月中旬から11日間、全国の高校生20人と米ロサンゼルスに滞在(たいざい)しました。
この研修を知ったのは、海外の人たちと平和について議論したいと思い、募集(ぼしゅう)をインターネットで見つけたのがきっかけです。現地では、教育・研究機関やロサンゼルスの日本総領事公邸などを訪問(ほうもん)しました。
高校で生徒たちと交流したとき、私が広島市から来たことを伝え、核兵器についてどんな考えを持っているのか質問しました。原爆資料館を訪(おとず)れたことがある女子高校生は「核兵器を持つことで自分たちは守られていると感じる」と答え、米国の核兵器保有に賛同していました。
広島で原爆の被害を学んだ後でも核抑止論(かくよくしろん)を肯定(こうてい)する人がいる現実を知りました。核兵器の脅威(きょうい)を伝えるため、今後も、海外の若者との交流にもっと参加したいです。(高2谷村咲蕾)
(2024年9月10日朝刊掲載)