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ジュニアライター発信

[ジュニアライターがゆく] 広島アジア大会30年 安佐公民館×カタール

「一館一国」交流 今も

 広島市を中心に1994年に開かれた「広島アジア競技大会」から今年で30年です。42の国と地域の選手たちが参加。初の地方都市、しかも被爆地での開催(かいさい)として注目されました。準備段階(じゅんびだんかい)から、市内の公民館が、参加国・地域の担当を決めて応援した「一館一国運動(いっかんいっこくうんどう)」に取り組み、多様な文化や伝統への理解を深めたそうです。過去の戦争への反省と、平和への強い思いもありました。中国新聞ジュニアライターは、今でも現地とつながり、交流を続ける市民団体を取材しました。

民族衣装や絵の展示室

 安佐公民館(広島市安佐北区)には広島アジア大会を機に設けられた「カタール博物館」と呼ばれる部屋があります。工芸品や民族衣装、子どもたちの絵画などがびっしりと並び、異国(いこく)の雰囲気(ふんいき)が漂(ただよ)います。

 カタールとの交流を続ける市民団体「カタール会」会長の久保田清信さん(76)が案内してくれました。安佐公民館の担当がカタールに決まり、地域住民はアラビア語や文化を学ぶことから始めたそうです。大会では選手団と交流し、カタールの国旗を手に声援(せいえん)を送りました。

 2年後の1996年、久保田さんたち18人が現地を訪れました。「縁をこれからも大切にしたい」と帰国後すぐにカタール会を結成。現在は40~80代の25人が友好を育んでいます。

 カタールからの訪問者を公民館や学校で歓迎(かんげい)したり、小中学生が描(えが)いた絵を送り合ったりしています。2021年にカタール代表として東京五輪に出た女子ボート選手は、小学生の頃に家族で公民館に来ています。久保田さんたちはアラビア語と英語で応援動画を作りました。

 「文化の違いを理解して相手に求め過ぎないようにしてきた。細くても長くつながり続けたい」と久保田さん。30年近い交流で、世代を超えた絆(きずな)の深さを感じました。

私たちが担当しました
 高3中島優野、高1谷村咲蕾、中野愛実、中3川本芽花、中2川鍋岳、佐藤那帆、西谷真衣、松藤凜、行友悠葵、中1石井瑛美、山下綾子が担当しました。

(2024年2月26日朝刊掲載)

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