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ジュニアライター発信

[ジュニアライターがゆく] 広島アジア大会30年 五日市公民館×ネパール

「一館一国」交流 今も

 広島市を中心に1994年に開かれた「広島アジア競技大会」から今年で30年です。42の国と地域の選手たちが参加。初の地方都市、しかも被爆地での開催(かいさい)として注目されました。準備段階(じゅんびだんかい)から、市内の公民館が、参加国・地域の担当を決めて応援した「一館一国運動(いっかんいっこくうんどう)」に取り組み、多様な文化や伝統への理解を深めたそうです。過去の戦争への反省と、平和への強い思いもありました。中国新聞ジュニアライターは、今でも現地とつながり、交流を続ける市民団体を取材しました。

音楽や料理 楽しむ祭り

 広島市佐伯区の五日市公民館では「モハニの会」が活動しています。アジア大会でネパールを応援(おうえん)するため、周辺の住民たちがつくりました。現在の会員は約10人です。

 代表の高田登代子さんたちは、大会のときにネパール代表の選手たちにネパールの国花「シャクナゲ」をモチーフにしたコサージュを贈(おく)りました。言葉は通じませんでしたが気持ちは通じ、喜んでもらったそうです。

 公民館で年1回のペースで開いているのがネパールの大祭「ダサイン」です。ネパールにちなんだ音楽や踊(おど)り、料理を楽しみます。最近は約200人が参加しています。広島市や近郊(きんこう)のネパール人も民族衣装(いしょう)を着て数多く訪(おとず)れ、国際交流や憩(いこ)いの場になっています。

 高田さんは「最初はネパールがどこにあるかも知らなかった。でも交流していると、あったかいもんをもらえる。やりがいがある」と力を込(こ)めます。1996年には会のメンバーたちで現地を訪れ、2015年にネパールを大地震(だいじしん)が襲(おそ)った時には、広島市で募金(ぼきん)活動もしました。高田さんたちの思いの強さ、温かさを感じました。

五日市公民館

 高田さんはこれまでのダサインの様子やネパールの人たちとの交流を笑顔で話してくださいました。ネパール文化の体験や、知識を深めることをとても楽しんでいる様子が伝わってきました。活動継続は決して容易ではないと思います。でも、メンバー自身が楽しんでいるからこそ、30年も国際交流の場をつくり続けることができているのだと実感しました。(高3中島優野)

 30年もネパールとの交流を続けていることがすごいと思いました。ダサインでは、ネパールにちなんだ文化を楽しむだけでなく、日本舞踊など日本文化にも触れてもらい、国際交流の場にしているそうです。私も、これからもっと国際交流イベントに参加し、異文化理解を深めていこうと思いました。(高1谷村咲蕾)

 モハニの会では、1993年に始まった一館一国運動の活動を30年ほどたった今でも続けています。なぜこれほど長く活動を続けられたかというと、ネパールの人との交流から得る温かさがあったからだそうです。

 続けるということは多くの困難があり、それを乗り越えてこられたのはすごいと思います。ダサインを開くことは大変でしょうが、参加者との交流から得るものも大きいそうです。開催の苦労と開催で得る価値が釣り合っているからこそ、継続できているのだと思います。ダサインの参加者もとても楽しんでいるそうです。

 モハニの会は、ネパールで災害が起こった時に支援をしたこともあります。ネパールへの思いを行動で示せるのは、活動を長く続けてきたモハニの会だからこそと思いました。

 何事も楽しみながら続けること、人との交流を大切にすること、助け合える関係をつくることは、僕たちが生活する中でとても大切だということが分かりました。(中2川鍋岳)

 五日市公民館で毎年、ネパールの祭り「ダサイン」を続けていることが、すばらしいと思いました。中には民族衣装を着てくる参加者もいます。みんなでネパールの音楽に合わせて踊って、とても盛り上がるそうです。ダサインでは、和太鼓など日本の文化も紹介するそうです。国を超えた交流を楽しみながら続けている様子が分かりました。(中1山下綾子)

私たちが担当しました
 高3中島優野、高1谷村咲蕾、中野愛実、中3川本芽花、中2川鍋岳、佐藤那帆、西谷真衣、松藤凜、行友悠葵、中1石井瑛美、山下綾子が担当しました。

(2024年2月26日朝刊掲載)

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