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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 朗読劇「第二県女」を見て 想像した原作者の信念

 大阪のグループによる朗読劇(ろうどくげき)「広島第二県女(けんじょ)二年西組」が5月中旬(ちゅうじゅん)、広島市中区で上演(じょうえん)されました。原爆投下時に爆心地から約1キロの雑魚場(ざこば)町(現中区)で建物疎開(そかい)作業をしていた広島県立広島第二高等女学校(現皆実(みなみ)高)2年の生徒たちを追った作品です。

 被爆死した生徒のうち本地文枝(ほんじふみえ)さんのエピソードが特に心に残りました。ひどいやけどの姿(すがた)を見て涙(なみだ)を流す母親に対して「泣いちゃあいけん。うちらはこまい(小さい)兵隊じゃ。うちが死ぬのも名誉(めいよ)の戦死じゃ」と言いました。まだ幼(おさな)さが残る子にも死ぬことが名誉だと思わせるのが戦争なのだと実感し、言葉も出ませんでした。

 原作者で脚本(きゃくほん)も書いた関千枝子(ちえこ)さん(2021年に88歳で死去)はあの日、体調不良で建物疎開作業に出ませんでした。生き残った負い目を感じながらも戦後に遺族(いぞく)を訪ね、必死の思いで核兵器の恐ろしさを伝えようとした信念を想像(そうぞう)すると、自分も行動しなければならないと思いました。

 朗読劇だからこそ登場人物に感情移入(かんじょういにゅう)しやすく、より心に響(ひび)くものがありました。多くの人に見てもらい、肌(はだ)で感じてほしいです。(高2山下裕子)

 朗読劇を鑑賞しているとき、自分が被爆直後のその場にいるような感覚になりました。特に、被爆した生徒の家族のせりふがまるで私に語りかけているように思え、心に刺さりました。被爆者の声を伝える方法は一つではないのだと思います。今回の朗読劇のように、いろいろな手段でたくさんの人に伝えていくことが大切だと考えました。(中3山下綾子)

 劇の中で、原爆詩「げんしばくだん」を朗読する場面がありました。私たちジュニアライターもこの詩を今年のフラワーフェスティバルで朗読しましたが、読み方が全く違いました。朗読劇では出演者全員が声に強弱をつけて繰り返し読むスタイルで、より原爆の恐ろしさが伝わってくるような気がしました。出演した下間京子さんの話を聞き、この朗読劇がこれからも受け継がれてほしいと思いました。(中1矢熊翔人)

(2025年6月2日朝刊掲載)

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