[核なき世界への鍵] 被爆者の思い伝わった ICAN委員の川崎さん
17年10月11日
禁止条約に関心高まる
ICAN国際運営委員の川崎哲さんは中国新聞のインタビューに応じ、ノーベル平和賞受賞が核兵器禁止条約への関心を高める好機になるとした上で「議論を刺激し、条約の署名国を圧倒的に増やしたい」と決意を語った。(田中美千子)
―受賞決定をどう受け止めますか。
今も興奮が冷めない。平和賞は、核兵器廃絶に向けて尽力してきた全ての人に対するものであり、とりわけ核の非人道性を訴え、運動をけん引してきた広島、長崎の被爆者に向けられている。ICANをあえて選んだのは、被爆者たちが積み上げてきた運動を再活性化させた若い組織への期待があるのだと思う。
―今後の活動の課題は。
条約に署名、批准する国を圧倒的に増やしたい。署名が始まった9月に53カ国・地域というのは良いスタートだが、満足しては駄目だ。核兵器を持つ国や依存する国を巻き込むには強い規範にしないといけない。参加国が100を超え、150に迫るほどでないと。そのためにも被爆者の体験だけでなく、署名を呼び掛ける声もしっかり届けていきたい。
―条約に参加していない日本政府に、受賞の影響はありますか。
あると思う。条約に政府が背を向けていることを多くの人が知ることになった。日本は核に依存し、条約への参加を見送ってきたが、その姿勢が維持できるだろうか。再考を促すためにも議論を盛り上げていきたい。
―自治体や市民には何を期待しますか。
広島市長が会長を務める平和首長会議はこの夏、全加盟都市から自国政府に条約への参加を働き掛けるとのアピールを採択した。各地方議会も条約について議論をしてほしいし、市民も議論を促してほしい。今回の衆院選でも争点になればいいと思う。
(2017年10月11日朝刊掲載)