核なき世界 まだ遠く 83ヵ国・EU代表参列 被爆地へは共感の声
20年8月7日
広島市中区の平和記念公園で6日あった被爆75年の平和記念式典には、83カ国と欧州連合(EU)の代表が参列した。米国とロシアの核軍拡競争が強く懸念され、中国は保有核を年々増強。「冷戦後で最悪」とも言われる核状況の下、ともに原爆犠牲者を追悼した。(桑島美帆、小林可奈、新山京子)
核保有国は米ロをはじめ英国、フランスなど6カ国が参列した。ロシアのミハイル・ガルージン大使は「広島は原爆使用の恐ろしさを世界に示した。わが国は責任を持って核軍縮のため対話する」と強調。同時に「米国に新戦略兵器削減条約(新START)の延長を求めているが回答がない」などと一方的に非難した。米国のニコラス・ヒル首席公使は中国新聞の取材に応じなかった。
3年前に国連で採択され、発効が待たれる核兵器禁止条約を巡る立場は割れた。条約実現を主導したコスタリカのアレクサンダー・サラス・アラヤ大使は「世界中の国に参加を呼び掛けていく」。一方、フランスのローラン・ピック大使は「核拡散防止条約(NPT)に沿って核軍縮に取り組んでいる」と説明するにとどめた。
被爆地への共感の言葉も聞かれた。「世代を超えて平和の大切さを思い起こさせる力がある場所だ」とウルグアイのセサル・フェレール大使。東ティモールのイリディオ・ダ・コスタ大使は「わが国は内戦で、自分の父も含めて多くの市民が犠牲になった。過去の悲しみを振り返り、未来へ向けた連帯が大切だ」と力を込めた。
式典後、松井一実市長を訪問したEUのパトリシア・フロア大使は「新型コロナウイルスの猛威に屈することなく互いの考えを共有し、対話することで世界平和を広島と一緒に求めたい」と呼び掛けた。
(2020年8月7日朝刊掲載)
核保有国は米ロをはじめ英国、フランスなど6カ国が参列した。ロシアのミハイル・ガルージン大使は「広島は原爆使用の恐ろしさを世界に示した。わが国は責任を持って核軍縮のため対話する」と強調。同時に「米国に新戦略兵器削減条約(新START)の延長を求めているが回答がない」などと一方的に非難した。米国のニコラス・ヒル首席公使は中国新聞の取材に応じなかった。
3年前に国連で採択され、発効が待たれる核兵器禁止条約を巡る立場は割れた。条約実現を主導したコスタリカのアレクサンダー・サラス・アラヤ大使は「世界中の国に参加を呼び掛けていく」。一方、フランスのローラン・ピック大使は「核拡散防止条約(NPT)に沿って核軍縮に取り組んでいる」と説明するにとどめた。
被爆地への共感の言葉も聞かれた。「世代を超えて平和の大切さを思い起こさせる力がある場所だ」とウルグアイのセサル・フェレール大使。東ティモールのイリディオ・ダ・コスタ大使は「わが国は内戦で、自分の父も含めて多くの市民が犠牲になった。過去の悲しみを振り返り、未来へ向けた連帯が大切だ」と力を込めた。
式典後、松井一実市長を訪問したEUのパトリシア・フロア大使は「新型コロナウイルスの猛威に屈することなく互いの考えを共有し、対話することで世界平和を広島と一緒に求めたい」と呼び掛けた。
(2020年8月7日朝刊掲載)