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軍縮の道 市民が知恵 中満・国連次長に提案 4都府県の12人

 停滞する軍縮を前に進める方策を国連の軍縮部門トップと共に考えるイベントが6日、広島市中区のおりづるタワーであった。被爆75年と国連創設75年に合わせ、広島県が企画。公募で選ばれた4都府県の市民が、国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長にさまざまなアイデアを提案した。

 オンライン参加の2人を含む10~50代の男女12人が出席。新型コロナウイルス感染防止のためフェースシールドを着け、英語で話し合った。

 中満氏は、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成するには軍縮の推進が不可欠だとの見方を強調。コロナ禍の中、各国政府が軍事費に財源を振り向けにくくなっている現状を「軍縮の好機でもある」と指摘した。「議論を再び活性化させるため、専門家でない人にもアイデアを出してほしい」と期待した。

 参加者からは、被爆者との交流や平和教育の重要性を指摘する声が相次いだ。被爆2世の女性は、被爆証言を聞いたパレスチナ難民の少年から「イスラエルに対する報復心を乗り越えていく」と連絡を受けたと紹介。「人と人との関わり合いこそが争いの抑止になる」と語った。

 10代の若者たちは、軍縮の機運を高めるためにソーシャルメディアを活用するよう提言。平和教育にデジタル技術を生かした実践例も報告された。同席した湯崎英彦知事は「一人一人の行動こそが変革につながる」と激励した。

 県はイベントの報告書を国連本部に提出する。(田中美千子)

(2020年8月7日朝刊掲載)

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