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アントニオ・グテレス国連事務総長メッセージ(要旨) ヒロシマ8・6

 75年前、一つの原子爆弾が言葉では表せないほどの死と破壊をこの街にもたらしました。1945年という同じ年に誕生した国際連合は、広島と長崎に降りかかった死と切っても切れない関係にあります。創立当時、そして最初の総会決議が採択されて以来、国連は核兵器を完全に廃絶する必要性を認識していました。しかし、その目標はいまだ達成されていません。核兵器の保有が安全保障を強化するのではなく、弱体化させるという教訓は、いまだ学ばれていません。

 今日、核のない世界は、さらに遠のいて行くように見えます。核保有国は兵器の近代化を進め、新しい危険な兵器とその運搬手段を開発しています。意図的あるいは偶発的に、核兵器が使用されるリスクは非常に高く、このような傾向が続くことは許されません。私は、完全な核兵器廃絶につながる共通のビジョンと道程に戻るよう、加盟国に繰り返し呼びかけます。

 核兵器保有国には特別な責任があります。核保有国は完全な核兵器の廃絶を繰り返し誓約してきました。今こそ対話と信頼醸成、核兵力の削減、最大限の自己抑制が必要です。

 そして、私たちは国際的な不拡散・軍縮制度を守り、強化しなければなりません。来年のNPT再検討会議において、締約国はこの共通のビジョンに立ち返る機会があります。核兵器禁止条約は軍縮体制のさらなる柱であり、私はその発効を心待ちにしています。

 核兵器の危険を完全に排除する唯一の方法は、核兵器を完全に廃絶することです。若者たちは重要な役割を担っています。彼らの考えに耳を傾け、彼らの声が聞かれる場を作るべきです。国連と私は、核なき世界という共通の目標を目指している皆さまとともに努力します。

(2020年8月7日朝刊掲載)

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