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呉に加藤友三郎の銅像 広島出身初の首相で鎮守府元司令長官 入船山公園で12月除幕

軍縮を決断 功績伝える

 広島県出身者で初の首相となり、旧海軍の呉鎮守府司令長官も務めた加藤友三郎(1861~1923年)の新たな銅像=イメージ図=が、呉市幸町の入船山公園内に建立されることが決まった。有志でつくる「加藤友三郎元帥研究会」が企画し、12月6日に除幕を予定する。(杉原和磨)

 現在の広島市中区出身の加藤は、1909~13年に呉鎮守府司令長官を務め、その後は海軍大臣や首相を歴任した。21、22年のワシントン軍縮会議に全権を担う立場で出席。日本の軍備縮小を決断した。首相在任中に病気で倒れ、23年、62歳で死去した。

 来年は、21年のワシントン軍縮会議からちょうど100年。呉市内の実業家を中心に2016年に発足した同研究会は、加藤の顕彰へ向けて勉強会や講演会を重ね、19年から像建立へ募金を始めた。同年3月には、東京都港区にある加藤の墓前に功績を記した銘板も設置している。

 加藤の銅像は現在、広島市中区の中央公園にもある。戦中まで比治山公園(現南区)にあった像が金属供出で台座だけになっていたため、復元を目指す有志が2008年に建立した。

 呉市での新たな像建立について、発起人の一人で研究会会長を務める大之木ダイモの大之木小兵衛社長は「呉とのつながりが深く、偉大な業績を残した政治家。地元の誇りとしてどうしても呉に立てたかった」と話す。

 計画では、銅像は高さ2メートル、台座込みで3メートル。司令長官時代の正装である「大礼服」姿で、公園内のどこに建立するかは調整中。入船山記念館にある旧呉鎮守府司令長官官舎の近くなどを候補としている。

 台座裏には、研究会が1300万円を目標に現在も呼び掛けている建立費用の寄付者の芳名板を付ける。像は除幕後、市に寄贈される。

(2020年8月7日朝刊掲載)

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