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悲劇繰り返さない 県北の8・6 各地で追悼行事

 米軍が広島に原爆を投下してから75年となる6日、県北各地で原爆死没者を追悼する行事が営まれた。新型コロナウイルスの感染拡大のさなかで迎えた原爆の日。厳しい暑さ中で、核兵器のない世界を実現する決意を新たにした。(石川昌義、伊藤友一、和泉恵太)

 庄原市の山内地区社会福祉協議会は、広島陸軍病院庄原分院山内病棟として被爆者を受け入れた同市山内町の山内西国民学校(現山内小)近くの慰霊碑前で慰霊祭を開催。遺族や地元住民25人が参列し、この地で亡くなった88人を悼んだ。参列者を例年の4分の1に絞り、体温測定を徹底して感染防止に取り組んだ。

 広島で被爆した父源三さん=当時(36)=が8月26日に同分院で亡くなったという同市木戸町の藤岡辰彦さん(87)は「悲しみを繰り返さないために、原爆をこの世からなくさんといけん」と力を込めた。同市東本町の宝蔵寺では、庄原仏教会主催の追悼法要があった。

 三次市三良坂町の三良坂平和公園にある「母と子―わたす像」の前では、三良坂平和を願う会が白菊150本を用意した。住民代表のあいさつなどの行事を取りやめたが、原爆投下時刻の午前8時15分には、十数人が黙とうした。

 三良坂中の全校生徒約60人は、同公園に近い三良坂コミュニティセンターで平和学習に臨んだ。原爆資料館(広島市中区)のピースボランティアで、市民団体「シュモーに学ぶ会」の西村宏子代表(62)=中区=が講師を務め、核兵器廃絶を訴え続ける被爆者の歩みに理解を深めた。その後、生徒全員が碑前に献花し、同中とみらさか小の生徒と児童の代表が、千羽鶴をささげた。

 一方、安芸高田市向原町の丸山公園で追悼行事を毎年、営んできた同町原爆被害者友の会は6日限りで解散した。玉川祐光会長(88)は「会としての活動は終えるが、今後も有志で碑の手入れを続け、核廃絶を訴えていきたい」と話した。

 9日投開票の安芸高田市長選に立候補している無所属新人の2人も、それぞれの8時15分を迎えた。前副市長の竹本峰昭氏(66)は甲田町で選挙カーを止め、下車して黙とうをささげた。元銀行員の石丸伸二氏(37)は吉田町の選挙事務所でスタッフと黙とうした。

(2020年8月7日朝刊掲載)

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