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莞蕾の従軍日記初公開 フィリピンの日本人戦犯恩赦求め活動 安来で特別展

 安来市出身の画家で、フィリピンの日本人戦犯の恩赦を求めて活動した加納莞蕾(かんらい)の世界平和への思いを伝える特別展が、同市加納美術館で開かれている。従軍画家として中国の戦地に赴いた際のメモや日記を初公開した。翻刻した島根大の竹永三男名誉教授(日本近現代史)は「正確で具体的な記録が克明に残っている貴重な資料」と分析している。

 メモと日記には日中戦争で従軍した1939年1~12月の行動を記している。仲間が戦死した様子や、どのようなルートで移動したかなどを詳述。当時の最高賞となる軍司令官賞を受賞した「風陵渡高地占領」を描いたとされる場所に出向いた記録も確認できる。負傷した兵士のために絵を描いたり、体調不良を訴えたりする記述もあった。

 タイトルは「戦後75年 いま安来から世界へ 加納莞蕾の求め続けた恒久平和」。四女の加納佳世子名誉館長(75)は「戦後75年という節目に、莞蕾の思いを感じてもらい、平和について考えるきっかけにしてほしい」と来館を呼び掛けている。9月28日まで午前9時~午後4時半。一般は1100円。(高橋良輔)

(2020年8月7日朝刊掲載)

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