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戦時の出来事 ビデオ学習 佐伯区城山中 地元の松本さんら語る

 広島市佐伯区の城山中の全校生徒約240人が6日、地元の松本巌さん(80)が戦時中の体験を語ったビデオを各クラスで視聴した。例年、原爆の日の平和学習は体育館に集まって被爆者の証言を聞くが、新型コロナ対策で企画を変更した。広島で死亡した米兵捕虜について調べる森重昭さん(83)=西区=の話も校内放送で聞き、戦争の愚かさや平和の尊さを学んだ。

 同校近くの八幡地区では1945年7月28日、米軍機が墜落。同地区で育った松本さんは、残骸が散らばった現場を母親と一緒に目撃した。原爆投下で自宅の窓ガラスは割れ、黒い雨も浴びたという。ビデオの映像を通じ「当時の悲惨さを知っているのは私たちの年齢が最後。覚えていてほしい」と呼び掛けた。

 続いて生徒は、第2次世界大戦末期に広島で死亡した米兵捕虜について研究している被爆者の森さんが自身の活動について語る内容を音声で聞いた。

 3年の葉沢長征君(15)は「身近な場所で起きた出来事を知り、興味を持って聞くことができた」。企画した和泉秀夫校長(58)は「生徒が大人になった時、この辺りでも被害があったことを語り継いでほしい」と願っていた。(石井千枝里)

(2020年8月7日朝刊掲載)

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