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360度 資料館 バーチャル巡り 日米芸術家グループ 公開

 日米の芸術家のグループ「1Future(ワン・フューチャー)」が、原爆資料館(広島市中区)を「バーチャルツアー」できる映像作品を完成させ、インターネット上で公開を始めた。31日まで。関連してオンラインイベントも予定している。

 被爆後の広島を米国人ジャーナリストとしてルポした「ヒロシマ」で知られる故ジョン・ハーシーさんの孫、キャノン・ハーシーさん(43)=ニューヨーク=たちが取り組む「ゼロプロジェクト 2020」の一環。

 撮影班が360度カメラを2メートルずつ動かし、約300カ所で記録した画像を映像作品「フューチャー・メモリー」としてまとめた。画面上をクリックしながら、資料館本館の中を歩いて見学しているように閲覧することができる。

 学徒動員で犠牲になった子どもたちが着ていた衣服、人影が焼き付いた石などの展示が立体的に迫ってくる。高精細な映像で、館内展示の説明文も読むことができる。ほかに、溶けた茶わんなど、持ち主を失った実物資料15点をこま撮りした3D映像も盛り込んだ。

 「1Future」は、広島国際文化財団の協賛を得て3年前に「ゼロプロジェクト」を開始した。今年は新型コロナウイルスの影響によりオンラインで活動。30日には、キャノンさんが「ヒロシマ」執筆時の祖父のエピソードを語るイベントを開く。ミュージシャンの佐野元春さんらがビデオ出演するコンサートや、5カ国の芸術家の作品展もある。

 キャノンさんは「現代の技術を使ってヒロシマの記憶を伝え、さまざまな人に感じ取ってほしい」と期待する。https://www.1futurejapan.com/(山本祐司)

<「ゼロプロジェクト 2020」の主なオンラインイベント>

31日まで    原爆資料館の展示を体験できる「フューチャー・メモリー」
         世界5カ国の作家の作品展
17日午後9時  ミュージシャン佐野元春さんらが参加するコンサート
30日午後6時  キャノン・ハーシーさんらが語る「ジョン・ハーシー 記憶の意           味」

(2020年8月13日朝刊掲載)

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