×

ニュース

原爆ドームを3Dで伝える 本社プロジェクト 撮影始まる

 中国新聞社は、世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)を3D化したデジタルデータを作る。原爆や戦争の悲惨さを後世に伝える被爆75年プロジェクト「あの日から現在、そして未来へ」の一環で、平和学習や観光客向けの案内で活用してもらう狙い。11日、現地で撮影が始まった。

 初日は、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)制作を手掛け、同社から業務を受託した「eje(エジェ)」(東京)のスタッフ2人が参加。原爆ドーム周辺で高所作業車と昇降装置にそれぞれ乗り込み、360度の方向から一眼レフカメラで撮影した。ドーム内部にも入り、13日までの3日間で数千枚を撮る予定。

 写真は、専用ソフトで一枚一枚を組み合わせる「フォトグラメトリ(写真測量)」の手法で3D化。原爆でむき出しになった鉄骨や建物の欠けた部分まで精密に再現する。年内に完成する予定で、タブレット端末を使った小中学校での平和学習や観光案内、災害や経年劣化でドームが損傷した際の復旧作業に役立ててもらう。

 エジェはこれまで、錦帯橋(岩国市)のデジタルデータ化などをした。初日の作業に携わった三代千晶代表(47)は「被爆の惨状を伝える原爆ドームを世界中から見ることができるようになる。しっかり記録として残したい」と話していた。

 プロジェクトでは、原爆ドームなど被爆建物の原爆投下直後と現在の写真を組み合わせ、被爆者らの思いとともに紙面で紹介する計画もある。(新山京子)

(2020年8月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ