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ハト派の存在感 薄く 自民 岸田派、立ち位置模索

 自民党岸田派(宏池会)が、独自の勉強会を立ち上げるなどし、派閥の発信力を高めようとしている。「軽武装・経済重視」の保守本流路線を自負する伝統派閥の宏池会。ただ、平和憲法やアジア外交を重視する党内の「ハト派」勢力としての存在感は薄い。改憲論議や、外交政策などをめぐり、安倍政権との間合いに腐心している。

 20日から本格始動する勉強会は木曜研究会。派閥の創設者、池田勇人元首相の内閣が誕生する前後、政策ブレーンを中心に発足した勉強会にちなんで名付けた。

 政権復帰で派閥活動に活発化の兆しもある中、第3派閥である岸田派の政策委員長の宮沢洋一氏(参院広島)は「『政策の宏池会』をあらためて打ち出す」と意気込む。

 一方で、古賀誠名誉会長をはじめ、加藤紘一元幹事長、河野洋平元衆院議長ら宏池会の流れをくむハト派の論客が国会から去り、自民党内に「穏健保守」勢力の存在感は薄い。改憲論議や中国、韓国との長引く対立をめぐり、岸田派議員に表立った発言は少ない。

 外相として安倍政権を支える岸田氏が、政権との「板挟み」になる場面もあった。

 今月上旬、中国との太いパイプを持つ古賀氏が野中広務元官房長官たちと訪中。その際、「領土問題を棚上げする日中合意があった」とする野中氏の発言を、菅義偉官房長官が批判。岸田氏も「棚上げすべき領土問題は存在しない」と否定した。

 「今回の訪問が無駄にならないようサポートを」。6日の岸田派の例会で古賀氏が水を向けると、岸田氏は黙ってうなずいた。

 岸田氏を含め4人が入閣する岸田派。内閣に「捕らわれた」との声もあるが、岸田派幹部は「(首相の)ポチになっているとは思わない」と言い切る。ただ、別の所属議員は「参院選後に改憲論議が本当に高まれば(派閥として)向き合わざるを得なくなる」と指摘している。(城戸収)

(2013年6月16日朝刊掲載)

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