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広島との縁 さらに深く 福山市出身の駐ペルー大使 片山和之氏

 駐ペルー大使に7月28日付で就いた福山市出身の片山和之氏(60)が13日、ビデオ会議システムで中国新聞の取材に応じた。ペルーへの移民が多い広島県との交流をさらに深めるとともに、核兵器廃絶に向けた被爆地の思いを現地に届ける考えを示した。

 ペルーには1899年から日本人が契約移民として渡り始め、一時は日系人で広島県出身者が最も多かったという。片山氏は「広島との縁は深い。ペルーは鉱山資源が豊富で、マチュピチュ遺跡など観光地も多い。それらを生かし、広島との関係をさらに発展させたい」と力を込めた。

 前任の外務省研修所長時代は、多くの若手外交官を広島市へ出向かせ、被爆体験の証言を聞かせた。「唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に貢献することは日本の使命だ」と強調した。

 現地では毎夏、広島県人会が主催する原爆死没者の追悼式典が開かれている。「県人会とも協力し、核軍縮の訴えに地道に取り組みたい」。福山市で子どもの頃に平和教育を受けた経験も生かすつもりという。

 片山氏は広島大付属福山中高(福山市)を卒業後、京都大に進学し、1983年外務省入り。米国や中国などの在外公館勤務は通算で22年間に上る。新型コロナウイルスの感染状況などを見極めて赴任日を決める方針でいる。(河野揚)

(2020年8月14日朝刊掲載)

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