×

ニュース

「黒い雨」国控訴 取り下げ求める 広島県原水協が要請文

 原爆投下後の「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康被害を訴える広島県内の原告全84人に被爆者健康手帳を交付するよう広島市と県へ命じた7月29日の広島地裁判決を巡り、県原水協は13日、広島高裁に控訴した国に控訴の取り下げを求める要請文を送った。

 高橋信雄代表理事名の要請文では、国が広島地裁判決を科学的知見が十分でないと分析した点について「原爆被害を過小評価し、被爆者救済を先延ばしするため常に持ち出す理屈だ」と批判した。国が表明した援護区域の拡大も視野に入れた再検討についても「何の担保もない」と主張。速やかに援護区域を拡大するよう求めた。安倍晋三首相と加藤勝信厚生労働相宛てにファクスで送った。

 被爆者健康手帳の交付は国からの法定受託事務で、裁判では、交付の実務を担う市と県が被告となった。市と県、訴訟に参加する国が12日、広島高裁に控訴した。

(2020年8月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ