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旧被服支廠前で詩朗読 市民団体 保存の重要さ共有

 広島市南区に残る市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」前で15日、原爆・反戦詩を朗読する集いがあった。一部解体案を巡り注目が集まる中、市民約90人が参加。「軍都」広島の歴史や被爆当時の惨状に思いをはせ、保存や活用の重要性を共有した。

 市民団体「広島文学資料保全の会」(中区)の主催。メンバーたち約20人が、原爆投下後に救護所となった被服支廠内の惨状をつづった峠三吉の「倉庫の記録」や、栗原貞子の「ヒロシマというとき」などを朗読した。安佐南区の主婦月長千絵さん(69)は「この場所で詩を聞くと被爆当時の建物にいるような感覚になった」と話した。

 同会は2002年から終戦の日に合わせて朗読会を開いており、ことしは初めて被服支廠を舞台にした。土屋時子代表(72)=中区=は軍服が作られていた歴史に触れ「加害と被害の両面を伝えることのできる建物。文学館や美術館として活用し『ものを言う』証人として残したい」と話した。(宮野史康)

(2020年8月16日朝刊掲載)

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