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広島遺族代表「平和ずっと」 山口の代表も不戦訴え 岡山・島根・鳥取は参列辞退

 東京都千代田区の日本武道館で開かれた政府主催の全国戦没者追悼式に15日、中国地方から広島、山口両県の遺族9人が参列した。終戦から75年の節目に戦争で失った家族を思い、平和が続くよう願った。一方、岡山、島根、鳥取の3県の遺族は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて参列を辞退した。(河野揚)

 広島県の遺族代表の岡本允男さん(78)=三原市=は、海軍兵だった父文夫さんを失った。1945年6月、福岡県沖で戦艦に乗っていた際に米軍の爆撃を受けたという。

 「母は父のことをあまり語ってくれなかったが、父はつらい思いで死んでいったと思う」と岡本さん。式壇で花を手向けて「元気に生きています」と父に報告したという。「今のような平和な日本がずっと続いてほしい」と祈った。

 山口県の遺族代表の藤本健さん(85)=長門市=は、父権市さんをニューギニアで亡くした。陸軍兵として赴き42年9月、敵兵に機関銃で撃たれたという。残された家族は戦後、農家だったため食料には困らなかったが、収入が少なく生活に苦労した。「戦争は悲惨。日本は絶対に再び戦争をしてはいけない」と訴えた。

 例年は広島県から原爆犠牲者の遺族が参列しているが、今年は希望者がいなかった。千葉県から長崎原爆の犠牲者の遺族が出席した。

(2020年8月16日朝刊掲載)

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