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被害実態 皿の塊や手帳で 原爆資料館 初代館長の収集品展

 原爆被害の実態を生涯を掛けて明らかにした原爆資料館(広島市中区)の初代館長、長岡省吾氏(1901~73年)が収集した資料の展示会が、同館で開かれている。初めて一般公開する溶けて固まった皿の塊などの約80点をはじめ、活動を記録した写真パネルなど計約160点を紹介している。来年2月23日まで。

 地質研究者だった長岡氏は原爆投下の直後から焦土を歩き、資料を集めた。熱で変形したビール瓶、動員学徒の遺品のズボンのほか、初公開となる調査結果を記した長岡氏の手帳などを並べている。

 長岡氏は、多くの墓石や灯籠の熱線跡も調べている。写真パネルでは、座り込んで資料を集める長岡氏の姿や、同区基町にあった原爆資料館の前身「原爆記念館」で海外の来賓を案内する様子も伝えている。

 資料は2015年に大竹市の自宅で見つかり、17年に遺族が資料館に1万1893点を寄託した。原爆資料館の落葉裕信主任学芸員(43)は「歩いて集めて整理する。原爆の恐怖を伝えたいとの信念に基づく長岡さんの地道な調査が、資料館の原点となった」と話す。

 同級生と2人で見学に訪れた筑波大3年の佐藤彩さん(21)は「長岡さんの尽力のおかげで、私たちが原爆の歴史を学べると実感した」と熱心に見入っていた。12月30、31日は休館。(猪股修平)

(2020年8月19日朝刊掲載)

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