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日米つなぎ被爆証言 戦艦ミズーリ記念館 原爆資料館 オンライン 

ハワイの参加者 熱心に耳傾け 感謝も

 原爆資料館(広島市中区)は21日、原爆展を開いている米国ハワイ州の戦艦ミズーリ記念館(ホノルル市)の職員を対象に、オンラインによる被爆体験の証言会を開いた。8歳で被爆した小倉桂子さん(83)=中区=があの日の記憶や復興を遂げた広島について話した。多くの職員が被爆者が語る惨状に初めて耳を傾けた。(猪股修平)

 英語で被爆体験を継承する「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」代表の小倉さんは、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を通じ約1時間、職員11人に語り掛けた。

 牛田国民学校(現牛田小、東区)2年生だった小倉さんは、爆心地から2・4キロの牛田町(現東区)の自宅前で被爆。市街地の様子を見ようと高台に向かう途中、血まみれでやけどを負った人や道ばたに横たわる多くの犠牲者を目撃した。

 焼け野原の広島の写真などを示しながら「重傷者に足首にしがみつかれ、水を求められた事が忘れられない。被爆者は見えない傷にも苦しむ」と訴えた。

 職員からは「どんな建物が原爆に耐えて残ったのか」といった質問や証言への感謝の言葉があった。小倉さんは「原爆の記憶を伝え続け、真の平和につなげてほしい」と訴えた。

 広島、長崎両市が11月末までミズーリ記念館で開いている原爆展に合わせ、資料館側が証言会の開催を持ち掛けた。小倉さんは「かつての敵同士が互いに歩み寄り、原爆展が開かれたことがうれしい。資料と被爆証言がそろい、原爆被害を深く理解する場が増えてほしい」と話した。

(2020年8月22日朝刊掲載)

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