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原爆で「消えた町」世界へ 市民団体 鉛筆画集の英訳出版

 広島市の市民団体「ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会」は24日、米軍の原爆投下で壊滅した市中心部の戦前の姿を細密に描いた鉛筆画集「消えた町 記憶をたどり」の英訳版の出版会見を市役所で開いた。平和記念公園(中区)の被爆建物レストハウスなどで販売する。

 画集は、現在の中区大手町で育ち家族5人を失った被爆者の森冨茂雄さん(91)=西区=が、記憶を基に県産業奨励館(現原爆ドーム)周辺などの町並みを描いた46点を収録。英語版は、絵に添えられた子ども時代の思い出や被爆証言、絵の中に書き込まれた商店名なども全て訳した。

 日本語版を2011年に自費出版した実行委の中川幹朗代表(61)は「当初から世界に届ける責任があると感じていた」。翻訳した広島大平和センターのファン・デル・ドゥース・瑠璃准教授は「素朴な平和の訴えを、いかに英語にするかに苦心した」と話す。さらにフランス語や韓国・朝鮮語など4言語に翻訳する計画もあるという。

 英語版には付録の地図もあり、絵に描かれた場所を示している。A4判116ページで600部を作成。映画「この世界の片隅に」の一場面を描いたクリアファイルも付く。2500円。実行委☎082(255)1923。(明知隼二)

(2020年8月25日朝刊掲載)

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