×

ニュース

「はだしのゲン」英訳完成へ 原作者の中沢さん 米大統領にも寄贈

■記者 東海右佐衛門直柄

 被爆後の広島で力強く生きる少年を描いた漫画「はだしのゲン」の単行本の英訳化が7月、全10巻のうち残り2巻の出版で完了する。原作者の中沢啓治さん(70)=埼玉県所沢市=が23日、広島市役所で会見し「戦争の愚かさを訴えるゲンのメッセージが世界に広まってほしい」と語った。オバマ米大統領にも贈るという。

 「はだしのゲン」は1973年6月に週刊漫画雑誌で連載がスタート。単行本はこれまでにロシア、フランス、スペインなど十数カ国語に翻訳された。

 会見で中沢さんは「作品のテーマは冬に芽を出し踏まれてもすくすく伸びる麦。戦争を経験した世界の子どもたちに勇気を与えられれば」と願った。

 英語版は4巻までで中断されていた。このため、かつてロシア語訳を手掛けた市民グループ「プロジェクト・ゲン」(金沢市)が2000年からあらためて全巻の英訳に着手。原爆の恐怖を表す擬音などに腐心しながら作業を進め、1巻から順次出版してきた。

 米国の出版社が7月に9、10巻を各1500部印刷する。米国や英国などで販売されるほか、日本ではプロジェクト・ゲンを通じて入手できる。日本では各1400円。Tel076(242)6559。 (2009年4月24日朝刊掲載)

関連記事
G8議長サミットへ 被爆者からの手紙 <1>(08年8月28日)

年別アーカイブ