×

ニュース

オバマ氏広島訪問 首相「政治的遺産」 「核の傘」の矛盾に触れず

 安倍晋三首相は28日の記者会見で、自らの政治的遺産(レガシー)の一つに、2016年のオバマ米大統領(当時)の広島訪問実現を挙げた。原爆を投下した国の現職大統領の被爆地訪問は史上初だった。「核兵器廃絶は私の信念で日本の揺るぎない方針だ」と強調し、次期政権での継承を訴えた。

 首相はレガシーに関する質問に、日米同盟の強化を挙げた上で「米国の大統領の広島訪問が、その中で実現できた」と振り返った。これに関連し、被爆者や戦争で家族を亡くした人の声をどう感じたかを尋ねる質問に「核兵器国と非核兵器国の橋渡し役を行いながら、唯一の戦争被爆国として、核廃絶に向けた努力を重ねていかねばならない」と述べた。

 一方で、核超大国の米国が差し伸べる「核の傘」に日本が依存するという矛盾には触れず、「同盟の絆を強くすることで(他国に)日本を攻撃しようとする気持ちにさせないということにつながる。つまり抑止力になっていくわけだ」と、かねての持論を展開した。(下久保聖司)

(2020年8月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ